気になる彼は…6 | ギイタクと時々クロネコ

ギイタクと時々クロネコ

大好きなギイタクを勝手に妄想しています。
話は全て、原作設定とは関係のないパラレルです。
お気を召さない方はご遠慮ください。

秋休みの二日目、意外にも早く託生から連絡が来た。

散々待たされて、やっぱり会えないと断られると覚悟していただけに、こんなに早く連絡を貰えるとは思わなかった。

だから、携帯のディスプレイに見知らぬ番号が表示された時、託生だと確信して、飛び上がらんばかりに喜んでしまった。

 

「もしもし!」

勢いよく電話に出て、聞こえてきた声に一気に気持ちが沈む。

 

『・・・崎くんかな?託生じゃなくて悪いね。兄の尚人だ』

 

「あ・・・、こんにちは」

お兄さん、ですか。

 

『崎くんも東京にいるんだって?誘ってくれたって聞いたけど?』

 

「はぁ、まぁ・・・」

託生にちょっかい出すな、とか言われるんだろうか。

 

『明後日の夜なんだけど、バイトを休めなくてね。託生を一人で留守番させるのが心配だったから、ちょうど良かった』

 

「え・・・?」

 

『もし崎くんの予定が空いていたら・・・』

 

「空いてます!」

いつ託生から連絡が来てもいいように、断れない予定は入れていない。

誘われても、行けるようならこちらから連絡すると言って、スケジュールは決めないようにしていた。

「何時に迎えに行きますか?オレは朝からでも大丈夫です」

 

『いや、日中は二人で出掛けるからいいよ』

 

「・・・・・・」

二人で、デート。

くそ、羨ましいじゃないか。

どうせ、毎日東京観光してるんだろう?

一日くらい、オレに時間をくれても良くないか!?

 

『できたら、僕がバイトに行く夕方に迎えに来てくれたら・・・』

 

「行きます!住所を教えてください」

オレの食いつきの早さに、尚人のクスクス笑う声が聞こえるが、そんなものは構っていられない。

 

『駅で待ち合わせでもいいかな?僕はそのままバイトに行くから』

 

「分かりました。駅で待ち合わせですね。・・・あの、託生は?」

携帯の向こう側から、託生の声はおろかその気配すら感じられない。

 

『今風呂に入ってるよ』

 

なんだ。側にいるなら代わってもらいたかったのに。

 

『遠慮しているのか恥ずかしがっているのか、自分から電話したがらないんだ』

 

「そうですか・・・」

大事な弟に想いを寄せる同級生、オレのことをそう認識していると思ったけど、意外に協力的なんだな。

この好意を素直に解釈していいものか迷うところだが、兄貴の思惑がどうであれ、託生に会わせてもらえるのならありがたい。

「それでバイトは何時に終わるんですか?」

 

『塾講師のバイトをしてるんだけど、9時には授業が終わるから、後片付けをして、10時過ぎには迎えに行けるかな』

 

10時か、結構遅いな。

うちの車で送るとして危険はないが、それならいっそのこと・・・。

「夜遅くなるようなら、うちに泊まってもらっても構いませんけど」

同級生を家に泊める、不自然なことじゃない。

オレの場合、多少の下心はあるとしても・・・。

 

『そう?・・・じゃあ、崎くんがよければ、お願いできるかな?』

 

「もちろん、大丈夫です!!」

抑えきれず弾む声。

思いっきりガッツポーズをした姿が見えているかのように、またもや吹き出すように笑われたが、嬉しさが勝っているので気にならない。

 

だって、お泊まりだぜ。

一晩中、託生と一緒に居られるなんて、嬉しすぎる。

ああ、オレ、今夜眠れるかな・・・。

 

 

 

 

 

 

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時期は秋休み。

季節感ないなぁ。

遅筆で申し訳ないです(T▽T;)