日本での滞在期間もあと数日。
週明けにはギイが出張から戻ってくる。
その前にと思いついて、ぼくは三洲に電話をした。
ギイが三洲はオメガの患者を担当したことがあると言っていたのを思い出したから。
「ごめんね、わざわざ来てもらって」
「いいさ、小さい子供と一緒に外出するのは大変だろ。こっちこそうるさいのがついてきて悪いな」
うるさいのというのは、もちろん真行寺のことで、奥で望未と一緒に遊んでくれている。
三洲に聞きたい話は、子供に意味なんてもちろん分からないだろうけど、望未に聞かせたい内容ではないから、真行寺がみてくれると正直助かる。
「でも電話をした次の日にすぐ来てくれるとは思わなかったな」
「タイミング良く休みの前の日に電話してくるから、こっちの休みを調べたのかと思ったよ」
「ギイじゃないんだから」
三洲は医大を卒業して、今は研修医として忙しく働いているらしい。
貴重な休みなんだよなぁ、二人で過ごすところを邪魔したんじゃないかなぁ、と気になったけど、そんなことを言えば、三洲の機嫌を損ねそうなのでやめておいた。
「それよりどうしたんだ?相談したいことがあるなんて。崎に愛想尽かして、子供を連れて家を出たいってことなら、俺じゃなく弁護士に相談しろよ」
・・・相変わらずひねくれた発想だな。
「違うよ。そんな事じゃなくて、・・・三洲くんが、オメガに詳しいって聞いたから」
「ああ、そういえば去年崎にも聞かれたな。それで、葉山は何を知りたいんだ?」
「うん、あの・・・、出産後の発情期がね、まだ来ないんだ」
「ふ~ん、まだ来てないのか。別に気にすることでもないだろう?あんなものないに越したことはない。それとも、もう二人目を作るのか?」
「う~ん、二人目もいいなって思うし、のんびり子育てしたいから、まだいいかなとも思うし・・・」
「どっちだよ?まだ24だし、そんなに慌てて子供を作ることもないだろう?」
「うん、そうなんだけど・・・」
「崎か?」
するどいのも変わらないな。
「俺が子供に夢中になっているうちは発情期は来ない、なんて奴に言ったからだな。あのバカ、真に受けてるんだろ?」
「・・・・・」
ギイをバカ呼ばわりするのって、三洲くらいだと思う。
「そういう傾向にあるってだけで、全員がそうなわけじゃないぞ」
「それは、NYで診てもらってる先生も同じようなことを言ってたから分かるんだけど、もう出産して一年も経ってるし・・・」
「発情期が来ないってだけで、セックスはしてるんだろ?」
「・・・・・・うん」
「ならいいじゃないか。時々サービスしてやれば、崎もギャーギャー言わないだろう」
「サ、サービス!?」
ニヤリと綺麗な笑みを浮かべる彼に、サービスの内容を聞いてみたい気もするけれど・・・。
「ちなみに、三洲くんも、その・・・、サービスをすることってあるの?」
思い切って聞いてみたら、予想通り、急に冷房が強くなったような、ヒヤリとした空気がぼくを包む。
「・・・してると思うか?」
微笑はそのまま、でも目が笑ってない。
こ、怖い。
「いや、なんでもないです」
すっごく気になるけど、これ以上三洲に聞く勇気は、ぼくにはない。
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
一度話を上げてから気づいたのですが、先程の話では三洲を医大6年生としていて、
託生は音大を4年通い卒業後NYへ、すぐ妊娠、次の夏に出産、現在子供が1歳・・・、
託生が音大卒業後2年4か月経っているということは、三洲がまだ医大生なら、三洲が一年留年してる計算になるじゃん(@Д@;
ヤバイヤバイ、とすぐに話を引っ込めて、修正しました。
三洲に怒られる・・・。
アワワ ヽ(´Д`;≡;´Д`)丿 アワワ