一世一代の大恋愛。そして違和感
現生を渡し、一緒に家を探した。何カ所か見たが、険しい坂の上に決まった。彼は働いていなかったが、株をやっているといった。そんな生き方もあるだろう。いいのではないかと思った。内装もふたりでそれなりに行ったし。小器用なひとで、電気系統など自分でやっていた。うちの父も同じようにさまざまなことができるひとだったので。そこも惹かれた。引越は娘も一緒だった。「光熱費も含めて。俺が損だから。3割でいい?」もちろん構わない。「これから3人になります。よろしくお願いします」とは言えなかった。彼にとっては娘ではないし。娘にとっても父親ではない。彼はケジメが好きではないと思えたし。「わたしのわがままだ」と思った。仕事は順調だった。起き抜け、唐突に「お前、やる気あんのか!」と怒った口調で言い出した。「え?」後々、仕事は一緒にやりたいと思っていたが、わたしの仕事は順調だ。なぜ、こんなこと言うのかなと疑問に思った。お金はわたしが多く捻出しているし。あるほうが払えばいいと気楽に構えていたからだ。自宅仕事だし、彼も家にずっといたから。買い物など、いつも一緒に過ごしていた。娘には悪かったけど、彼優先で進んでいたと思う。さらに朝起きてから夕方までずーっと怒っている。何かにつけて怒っている。わたしに文句を言っている。怒りの意味が分からなかった。彼は立ち飲みが好きだったので。飲み屋ではおとなしく、地味に普通に機嫌が戻る。そおしているうちに、「おはよう」も言わずに。わたしを無視することが多くなった。立ち飲み仲間と競馬に行く。一緒に行くことになっていたのに。先に自転車で無視しながら出かける。「何が悪いのか教えて」と話しかけても答えない。違和感が膨らむ。信じていたかった。一世一代の大恋愛だと。これからだと思っていた。