塾生のことではなく、これは映画の話である。数年ぶりにこの映画を見たが、以前はもう見飽きたと思ったものでもやはり何年も経ってまた見ると、新たな気づきがあるもので名作たるゆえんである。ただ、やはり悪い方に考えると現在では成り立たない物語である。どう考えてもこの主人公はストーカーである。良い方の気づきとして。撮影がすばらしい。個人的に震えるほどすばらしいカットは、主人公ベンジャミンが恋人エレインに、母親との情事を明かすシーンで、焦点がドア越しの母親、そして次にエレインに移るあのシークエンス。エレインが振り向くタイミングに若干カメラが遅らせる、意図的なピントのズレが生み出すカメラワークが完璧である。そして一生忘れないであろう、誰が聞いても分かる、'get out!'という悲鳴とともに発せられるエレインの英熟語。さらには、ベンジャミンがエレインを追って大学に侵入、大勢の生徒の中から発見する際に、遠くから完全にエレインにピントが合わされるくだり。また、ベンジャミンを代表とした若者と、ホテルに集まっていた老人たち、そして最後バスに乗っていた老人客たちの対比。スリリングなストーリー、S&Gの音楽、あの有名なラストシーンもさながら、最近に無い「映像言語」の原点をあらためて堪能した今回であった。そしてやはり表れているのは、当時の未来が見えない若者の時代の悲壮感である。