【書籍】意識は科学で解き明かせるか? 天外 伺朗・茂木健一郎 講談社BLUEBACKS  | 人生50年あとはおまけです

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成人病オールスターズのおっさんが
書き残す終活日記。
2014年8月以降も生き残っていたら
なるべく続けます

著者二人の対談本。

BLUEBACKSだったので

何の気なしにヤフオクで購入したが
発行日が2000年で、

対談をしたのが1998年春、

という現在の夢や脳に関する

情報から見れば、

古いと言わざるを得ない。



ただ、第三章の
脳についてのごく一般的な

解釈があっての

「記憶」のメカニズムは
私にとって

新しい情報として勉強になりました。

特筆なのは随所にでてくる

「量子力学的」考え方を脳の働きに
合致するような主張をしていること。

例えば、p136で天外さんは

「意識の拡大と脳」というテーマで
波動関数の収縮を起こす前の

生の波動関数をそのまま観察して、

それを逆に脳の中で意識的に収縮する。
ただし、普通の収縮の仕方と

ちょっと違うような

収縮の仕方をしているということが

あり得るのではないか。
と主張するが、
 

・・・うーーん。何をいいたいのか

全くわからん。

波動関数といいたいだけに読める。
ここでいう「意識の拡大」とは

「睡眠中のコリン作動系優位の状態」

の事で

いわば覚醒中に理性の抑圧や
制御が外れた状態の事。
これを受けて茂木さんは、

今の神経科学では

「正常な意識状態」しか

扱っていない。という。

なんか議論ぶんなげた?


20年前のことなので、

今の神経科学の解釈をぜひ、

調べてみたいところだ。

そしていよいよ第四章で主題である

「科学で意識は解き明かせるか?」

について言及する。
章題は「科学は心を解明できるか」だが

いきなり「ツイスター」の説明が始まる。
どこまでもペンローズ推し。

何回か読み直したが、

意識の構造とツイスターの概念が

どう関連するのか?
さっぱり理解できんかった。

ツイスターの考え方は

読んで理解できたつもりだが、
それが意識の働きと

どう関与しているのか?
後半では「意識」への

言及そっちのけで、

ツイスターについて

熱く語っています。
これまたなんとなく言いたい事は

わかるが「意識」とは

関係ないんじゃね?と
思ってしまいました。

次の「クオリア」は

大きく頷ける部分が多く、

非常にためになりました。
これについては

もう少し関連本を読んでみたい。
読んでいて思ったのが、

つくづく「記憶」っていうのは
ユニーク性が高いな、という事。
例えば「バナナ」についての

記憶を考えてみても
バナナは「黄色い」「緑色」と

「手よりでかい」「手で隠れるくらい」と

人によってその対象物に

対する記憶内容が違うのだ。
これが経験に基づいてニューロン内に

格納された個々のクオリアなのかな?

と考えました。
そしてそれらが、

ネットワークになることで

個性が発現する、と。
運動神経のような「手続き記憶」でも

それを経験する時期や環境によって、

成長具合(固定記憶)は
大きく変わってくる。

 

これって思考プロセスを

大きく飛躍させてしまうけど、

記憶としてインプットする内容

(茂木さんのいうクオリア)が

ユニークであるからこそ

人それぞれの

物事の捉え方があって

その記憶した内容を

確かめ合うのが

コミュニケーションである。

といえるのではないだろうか?

 

さらにはインプットする前の

感じ取り方にも個人差が

あるからこそ、

「感性」と呼ぶ感覚と表現が

生まれたのではないだろうか?

 

「感性」は非合理的とも

表現できよう。

とすると対義語の「合理的」

は「感性が低い」?

これって言語表現の

多様化を説明できるのでは

ないでしょうか。

 

例を考えてみる。

英語で「雨」はRain。

日本語では霧雨、さみだれ、涙雨など

比較したページをググってみました。

 

「小雨」「大雨」など雨の強弱の英語表現16選

 

これを持って、日本語が感性的で

あるとは断言しないけど

少なくとも英語よりは

感性的であることがわかります。


話は戻ります。

しかし、ここでもまた

相対性理論やツイスター理論を

持ち出してくる。
ここもまた私には

理解できんかった。

で、そういった

量子力学的な見解を

意識の動きに対応させて

二人は熱く語ってるんですが
茂木さんは「これは私の仮説です」

と言いおった!
はじめに言ってくれよ・・・。
しまいには天外さんは宗教的な

「唯識論」まで持ち出して

量子力学のコペンハーゲン派解釈を

説明し、

だから世の中のものは

波動関数の重ね合わせとして

存在する。らしい・・・。
そしてまとめにはいってくるが

そこには驚愕の結論が!!
なんとなく物語のストーリーとしては

面白い展開だなぁ、とは思うけど
題名の答えについての見解は

明確になってないよなぁ、

という印象を受けました。

こういう考え方もある、

っていう意味では

良い読後感でしたけど
なんとなく

「波動関数推し」「ペンローズ推し」

「とにかく量子力学!」みたいな

思いが迸っていて、

それを記憶の構築作業に
強引に結び付けてある感が

最後までぬぐえませんでした。


最後に茂木さんが、汗をかきながら対談を

締めている光景と

勝ち誇ったような天外さんの光景が

目に浮かびました。
 

結構強烈な本だったので、

私の脳内ニューロンのクオリアには

固定記憶としてインプットされたようです。