券売機のならぶのみなる空間に駅のにぎわい隔てられおり



襟足のみじかき髪より汗を拭う山手線に未だ慣れざる



人のおらぬ花屋の多肉植物に雨より小さきしずくの光る



カウンターにテーブルに本を読む人らバー銀狐の夜は深まる



小野照の柱の獅子を見上ぐうち降り続く雨の音の消えゆく