私が小学生の頃、昭和40年代。

小学校の卒業式では、卒業生は中学の制服を着て式典に参列するのが当たり前の常識だった。

とっても優秀な人物と言う人は、いつの世の中でも存在する。
そして、それぞれ家庭がある。どんな形態であれ、住む家には必ず大人が介在する。その大人を中心に家庭の方針が決まるのだと思う。
殆どの同級生は、地元の公立中学に進学するのだが、


頭が良い
家庭の方針


この2つが一致した小学生は、我々凡人には分かり得ぬ、私学への道、国立付属への道。を既に目指していたのだった。

それが分かるのが卒業式。

詰襟とセーラー服の中に燦然と輝くブレザーの制服。

明らかに

違う世界の人間だからねっ!

って身体中で表現してる。

しかし子供は残酷だ

何となく、こいつは、行くだろうな…。って把握してるから、逆にむしろ当たり前。
気持ち悪いのは、公立の制服着てる頭の良い人。

そして子供は残酷だ

気取ってやがったのに、金持ちじゃ無かったんだな!

やっぱり子供は残酷だ

落ちた!(爆笑)!


私達の卒業式の時、前代未聞の事が起きた。後に地元のアナウンサーになる程優秀な少女は、公立の制服を着て、卒業式に参加したのだ。優秀な付属には当然受かっていた。

私達はそこまで全て知っていた。
親の噂の連絡網は子供の耳にもしっかり伝わっていた。私は、歯に絹を着せぬ母親から直に聞いていた。

「○さんの所は、付属に受かったんだけど、卒業式が恥ずかしいから公立の制服も買ったんだって!」

私はまだ、この心理が図りかねる。半世紀近く日にちが経っているのにまだ分からない。

だがしかし、私はもうこの問題を解決しなければいけない時期が来たのではないか?

今日私はこの問題を解決しようと思う。


この二大解決ブランドに、制服二刀流事件を付け加えてみたい。そして、解決三羽ガラスとして後世に永く伝えようと思う。人類又はラスカル界の救世主になり得るだろう。

私は、母からこの話を聞いた時、まず思ったのは、

何故そんな無駄な事をするのかが、分からない。


大体、学校の制服って高いんだよ。最近では小学生制服アルマーニ騒動ってのがありましたよね?
あれも高いから騒動になったのだ。アルマーニが¥3000でいいよ!って言ったら騒動にはならず、決めた校長は尊敬された。

とにかく制服は高い。その高い制服を、1日しか着ないのにもう1着買うとは…。
ここに家庭の闇があるのではないか?と、そこの闇を探ろうとしたのだが、全くビジョンが見えてこない。

すごく無理矢理ほころびを見つけるとすれば、母親がちょっと気取ってる。くらい…。少し年の離れたお兄様は超イケメンで超優しい大人の男性だし。ご本人もすごい上品な美人でスポーツ万能!もちろん頭が良すぎる。だから付属へ行くのだ。

頭が良すぎる自分が恥ずかしいのだろうか?
美人すぎる自分が恥ずかしいのだろうか?

目立つなって言っても目立つ存在の彼女
目立つなって言っても別の意味で目立つ私

もしかしたら、目立ち続ける事に小学生として疲れてしまったのではないか?
付属合格は家庭命題だったとしても、小学生でありながら色々と学校代表として出かける事も多かった彼女は忙しかった。
私生活では、彼氏もいた。
取り敢えずの目標を達成して、疲れたのではないか?

彼女は、家で泣いたのかも知れない。
彼女には彼女にしか分からない何か恐ろしい事が起こっていたのかも知れない。
例えば、中学に行っても仲良くしようね!って約束していたのだけど、それは、受験に落ちたら。と言う条件が付いていた。それを分かっているのは、彼女唯一人。
そこまで、小学生が心を整理出来るとも思えない。

彼女の出した答えは

卒業式にみんなと同じ制服で出席する。

そのお願いを聞いてくれなきゃ付属なんか行かない!!と、大号泣したのではないだろうか?

その子の母親もきっと大困惑したに違いない。
だからついつい、ご近所に愚痴をこぼし、噂になったのだ。


卒業式の当日彼女は公立の制服で現れた。


だが、私は見過ごさなかった。
公立の制服は、紺色か黒色かを選ぶのだが、誰も紺色の制服は選ばない。我々は選択せずに流されるの大好きなのだ。

彼女は、誰も着ていない紺色のセーラー服を着ていた。


やはり頭の良い美人は小学生から全てが違うのよ。


これで解決!?って事でいいかな?


中学生になった私達は、自転車で中学に通った。ヘルメットは義務づけられていた。これが死ぬほど嫌だった。

付属に通ってる彼女は駅まで自転車。しかしその頭にはヘルメットがあった。もちろん義務づけられてなんかいない。


何から何まで
凡人には
わかりません!