探偵:小川令子が、同業者の鷹知祐一朗から紹介された仕事は、浮気調査だった。舞台俳優:草元朱美から同棲中の役者:福森宏昌について調べてほしいという依頼だった。二人は、現在『望郷の血』の舞台稽古中であり、その演出家:栂原恵吾と結婚して引退した女優:栂原沙保里(つがはらさおり)が相手だという。加部谷恵美が稽古場を張り込み中、駐車場の雪の上、血を流して倒れている死体が発見される。依頼人の草元朱美だった。
小川&加部谷コンビ、三番目の事件です。
三冊目にして、シリーズ名決定。
<XXシリーズ>となっております。
加部谷の親友である芸能ジャーナリスト:雨宮純も大活躍です。
そして、加部谷が、純ちゃん家に同居させてもらうことになり、お引越し。
よかったねぇ。
事件は”連続”とはいえ、かなり間があいていて場所も違うけど、複数の未解決の殺人事件と類似性があり、加部谷により「雪上流血美女連続殺人事件」と命名されます。
その一つは、十二年前、栂原恵吾の前妻が、雪の上に血を流して死体となって発見されています。
その後、似たような事件が続き、そして、今回の草元朱美です。
各章の冒頭に掲げられる引用は、連続殺人事件という内容にぴったりの『マインドハンター FBI連続殺人プロファイリング班』からの抜粋です。
そして、プロローグの冒頭で使用されている文章には、<わたしがほんとうに関心をもったのは心理学的な側面、つまり何が殺人の引き金を引くのか、ということだった。>の文章に、少なからず驚かされました。
えっ!?
ここにきて、路線変更?
そんなもん、本人にしかワカランというスタンスやったやん。
なのに……。
確かに、今回フツーのミステリィっぽいのは、そのせいかも。
ラストには、小川さん、加部谷、純ちゃん、鷹知の四名で、犯人の動機が開陳されています。
まぁ、どちらにせよキャラ読みしてる私には、もはやどーでも良くなっているのですが。。。
すっかり飼いならされとるがな。
そもそもな、雪の上で殺されるの、なんで美女なんだぁ? 男じゃいかんのかって思わん?
確かに、イケメンでもいいよなぁ。
同調する加部谷に、重ねて純ちゃんが言うことには、
LGBTとかもよぅ、男と女を区別してるから出てくる問題なわけで、最初からな、男も女もやめて、戸籍にも書かなええが、小さいときから区別せんときゃええだろが、ほれ、犬とか猫とか、わからんだろ、見た感じで雄も雌も同じだぎゃあ
と、イマドキ発言。
純ちゃんの方言も、好き。
だけど、すぐその後、生きてるうちは望めないと悲観的。
やっぱ、そーなんかなぁ。
うーん、どうしようもないわさ。くっそくだらん世の中だが、ここしかないでな、生きていく場所がよ
と、不本意なれど取り敢えずの順応性もバッチリ。
取り敢えずだよ、取り敢えず。
なのに、加部谷ったら、「純ちゃんが男だったらよかった」だの、「私が男だったら、純ちゃんにプロポーズする」なんて言って、速攻そこに差別があると突っ込まれてます。
確かにねぇ。
でも、こっちも、良いコンビやねぇ。
意外と苦労人な純ちゃんの発言ですが、実はこれ、プロローグの冒頭に置かれたモノローグから始まるミスリードを解くカギにもなっていて、なかなか技ありだなぁと感心しました。
シリーズ名も決定したことだし、今後、この路線で行くのかなぁ。
牛田刑事は、小川さんの亡き彼に声が似てるそうで、ちょっと気になりますね。
そして、もう一人気になる初登場の人物がいます。
これまた、小川さん関連で、なんと小川さんを過去にストーカーしてた、大富豪のおじいちゃん:三郷元次郎です。
そのおじいちゃんから、ハワイに留学中の孫娘の彼氏の素行調査を依頼されたところで、この巻は終わってます。
次回は、ハワイからでしょうか。
【おまけ】
◆靴にみる加部谷的女性度判定
↓ 加部谷恵美……スニーカー
↓ 小川令子……低いヒール
↓ 雨宮淳……けっこうヒール高い
↓
成瀬舞花(特別参加;主演女優)……ヒールが高く、大きめ(プラットフォームシューズか?)の目立つ靴。