辞表を出そうとしていた私は、長期海外出張を命じられた。空港で出迎えてくれたのは、六年ほどまえに来日していた私の部署の研修生:X・Jだった。緩やかな独裁政権が残るこの国では英語がほぼ通じず、彼女が私の通訳をしてくれた。それから一週間ほど過ぎたころ、美術館で事件が起きた。作品に被害はなく、壁に十センチほどの円形の穴があけられていた。コンクリート製の壁は一メートル以上の厚さがあり、貫通はしてはいなかった。科学班の彼女が指揮を執ることになったものの、二日後に捜査は打ち切りになった。再び私のもとに現れた彼女は、一時帰国を促し……。
「ラジオの似合う夜」
この事件の一か月ほど前に、美術館から絵が盗まれています。
えっ、保呂草さん登場?
と、にやにやしてしまいました。
でも、違った。
その盗難は、たぶん保呂草さんだとは思うけど。
”私”とは、林警部。
はっきりと名前が出てきたわけではありませんが、別れた妻と、かつての直属の部下だった女性との話が出てきます。
そして、元妻との国際電話の会話。
わ~い、紅子さんやん。
名乗らないけど、もう会話が紅子さん。
帰国後、訪問するお家も、離れを移築した紅子さんちやし。
嬉しすぎる。
なので、X・Jから聞かされる相変わらずの反則っぽい事件も、全然気にならず大満足でした。
いやもう、私フツーの解は求めてませんから。
それにしても、林警部、なぜに、そんなにもてる。。。
ちなみに、メインの事件には核開発がからんでいて、一介の警部ごときでは歯が立たないものでした。
クーデタなど止められない。
しばらくの間、テレビや新聞に注目していたが、そのうち報道は下火になり、もうどうなっているのかさえ、わからなくなってしまった。これからがきっと長い。ただどうか、傷つく者、苦しむ者、命を落とす人間が、一人でも少ないことを願うばかりである。
私にできるのは、あの一夜を思い出すことしかない。キッチンから聞こえてくる音、ラジオのメロディ、私の手を引いて先を急いだ彼女、その手の感触、肌の感触、すべての感触を。
他に、
- 「檻とプリズム」※
- 「証明可能な煙突掃除人」
- 「皇帝の夢」
- 「私を失望させて」
- 「麗しき黒髪に種を」
- 「コジジ君のこと」
- 「砂の街」※
春休みに山吹早月は、加部谷恵美と海月及介を伴って、白刀(はくと)島の実家へ帰った。実家は島で唯一の山吹旅館。姉:寛奈(かんな)が手伝っている。研究室の先輩である西之園萌絵も、叔母:佐々木睦子とともにヘリで到着。睦子が島に別荘を持っているのだ。さっそく、島で唯一いわくつきの刀之津診療所に向かい、その六つの謎に挑む。
「刀之津診療所の怪」
これはねぇ、医者の正体がわからなくて、ググっちゃったよ。
もう、びっくり。
これも、ある意味「Vシリーズ」だったのね。
言われてみれは、納得なんだけど、全くわからなかったです。
〇〇ちゃん、医者になってたのか。
振り袖姿に、少林寺。
なんで気づかんかったんかなぁ。
そうか、そうか、あの人たち、そうなってたのかぁ。
わかってよかったです。
ネットのネタバレ提供者さん、ありがとうデス。