マンガ:「大家さんと僕」と、その作者でもある僕:矢部太郎さんをめぐる諸々。
マンガあり、インタビューあり、対談あり、「『大家さんと僕』とわたし」と称する担当編集者さんを始め、先輩マンガ家さんや作家さんからの寄稿ありと、盛沢山デス。
小学生の頃、矢部さんが発行していたという家族新聞の『たろうしんぶん』(「お父さんと僕」の項で、本物の写真登場)の成長版?「大家さんと僕」バージョンみたいやなと思いました。
ちなみに、矢部さんのお父さんは、絵本作家の「やべみつのりさん」だそうで、子どもの頃から、矢部さんはお絵かき大好きだったようです。
”狐(決して蛙ではありませんヨ)の子は面白(つらじろ)”ですね。
個人的には、単行本の一話目に、ご本人が、朱ならぬ黒字で解説入れられてるのが、おもしろかったです。
サラッと書かれているようで、いろいろ工夫されいる(当然か)のも窺えて、興味深かったです。
巻頭には、「大家さんと僕 番外編」として、書き下ろしマンガも。
やっぱり、ほのぼのですねぇ。
大家さんの頂き物の虎屋の羊羹をお相伴する矢部さん。
普通の羊羹が食べたい矢部さんが、選んじゃったのが「おもかげ」。
「おもかげ」って何味だったっけ?
思わず、ググってしまいましたよー。
同じく普通のがいいと大家さんは、「夜の梅」をチョイス。
「夜の梅」って、つぶつぶ入ってるよね。
私的には、羊羹に粒は不要(粒きらい)やねん。
ちなみに、我が家のお仏壇には、今、虎屋の羊羹お供えしてます。
こんなふうに、身近な話題が満載だから、誰もが、とっつきやすいんですね。
そして、大家さんのお人柄が大きいと思います。
もちろん、矢部さんもね。
何とも言えない脱力感?と共に、大家さんの人生に、時に透けて見える戦争の影に、胸の深い深いところをつつかれて、ハッとします。
そりゃあ、手塚治虫文化賞も納得です。
そして、多くの方が、日常の世界が一瞬のうちにファンタジーに移行するその素晴らしい手法に、驚嘆されているのを知り、反省しました。
まるっきり、見落としとった。
私、どこ読んでたんやろね。
うわぁ、恥ずかし。
そして、お二人が本好きだったことに、ニンマリ。
矢部さん、読書家やったんや。
やっぱり、本はいいね。
二人で一冊の本を眺めるカットが、とても素敵です。
新潮社では、単行本の発行部数が10万部を超えると、職人さん手作りの革表紙の特装本が4冊(2冊は著者へ、2冊は新潮社で保管)作られるそうです。
1956年の三島由紀夫の『金閣寺』から始まって、現在まで慣習となっているのだとか。
すごいなぁ、矢部さん。
手塚治虫文化賞もやけど、三島由紀夫と並ぶのかぁ。
それを、大家さんに見てもらえなかったのは残念だけど、きっと、きっと喜んでらっしゃることでしょう。
49才離れた大家さんとも
本の話で 仲良くなれました