「大家さんと僕」と僕  矢部太郎 | 青子の本棚

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「すぐれた作家は、高いところに小さな窓をもつその世界をわたしたちが覗きみることができるように、物語を書いてくれる。そういう作品は読者が背伸びしつつ中を覗くことを可能にしてくれる椅子のようなものだ。」  藤本和子
  ☆椅子にのぼって世界を覗こう。

 

 

 

 

マンガ:「大家さんと僕」と、その作者でもある僕:矢部太郎さんをめぐる諸々。

 

マンガあり、インタビューあり、対談あり、「『大家さんと僕』とわたし」と称する担当編集者さんを始め、先輩マンガ家さんや作家さんからの寄稿ありと、盛沢山デス。

 

 

小学生の頃、矢部さんが発行していたという家族新聞の『たろうしんぶん』(「お父さんと僕」の項で、本物の写真登場)の成長版?「大家さんと僕」バージョンみたいやなと思いました。

 

ちなみに、矢部さんのお父さんは、絵本作家の「やべみつのりさん」だそうで、子どもの頃から、矢部さんはお絵かき大好きだったようです。

”狐(決して蛙カエルではありませんヨ)の子は面白(つらじろ)”ですね。

 

 

個人的には、単行本の一話目に、ご本人が、ならぬ黒字で解説入れられてるのが、おもしろかったです。

サラッと書かれているようで、いろいろ工夫されいる(当然か)のも窺えて、興味深かったです。

 

 

 

巻頭には、「大家さんと僕 番外編」として、書き下ろしマンガも。

やっぱり、ほのぼのですねぇ。

 

大家さんの頂き物の虎屋の羊羹をお相伴お茶する矢部さん。

普通の羊羹が食べたい矢部さんが、選んじゃったのが「おもかげ」。

「おもかげ」って何味だったっけ?

思わず、ググってサーチしまいましたよー。

 

同じく普通のがいいと大家さんは、「夜の梅」をチョイス。

「夜の梅」って、つぶつぶ入ってるよね。

私的には、羊羹に粒は不要(粒きらい)やねん。

ちなみに、我が家のお仏壇には、今、虎屋の羊羹お供えお願いしてます。

 

 

こんなふうに、身近な話題が満載だから、誰もが、とっつきやすいんですね。

そして、大家さんのお人柄が大きいと思います。

もちろん、矢部さんもね。

 

何とも言えない脱力感?と共に、大家さんの人生に、時に透けて見える戦争の影に、胸の深い深いところをつつかれて、ハッとします。

そりゃあ、手塚治虫文化賞拍手も納得です。

 

 

そして、多くの方が、日常の世界が一瞬のうちにファンタジーに移行するその素晴らしい手法に、驚嘆されているのを知り、反省しました。

まるっきり、見落としとった。ガーン

 

私、どこ読んでたんやろね。ガックリ

うわぁ、恥ずかし。ドクロあせる

 

 

そして、お二人が本好きだったことに、ニンマリ。ニヤリ

矢部さん、読書家やったんや。

やっぱり、本はいいね。

二人で一冊の本を眺めるカットが、とても素敵です。

 

 

新潮社では、単行本の発行部数が10万部を超えると、職人さん手作りの革表紙の特装本が4冊(2冊は著者へ、2冊は新潮社で保管)作られるそうです。

1956年の三島由紀夫の『金閣寺』から始まって、現在まで慣習となっているのだとか。

 

すごいなぁ、キラキラ矢部さん。

手塚治虫文化賞もやけど、三島由紀夫と並ぶのかぁ。照れ

それを、大家さんに見てもらえなかったのは残念だけど、きっと、きっと喜んでらっしゃることでしょう。

 

 

 

 

本 49才離れた大家さんとも

    本の話で 仲良くなれました