今回は先週絵でご紹介した不動明王について解説したいと思います。、

サンスクリット語でアチャラナータ(アカラナータ)という名前です。

意味は動かない守護者、あるいは動かない者の守護者。
もともとヒンドゥー教のシヴァ神の別名でした。
十一面観音の項でも少し書きましたが、インドでは別の神格を別名や化身として取り込むことがよくあるので、アチャラナータも土着のマイナーな神様が前身だったのでしょう。
青黒い肌や片袖を破って結んだ法衣は奴隷の意味もあり、
被征服民であるドラヴィダ人がモデルになったという説もあります。
下層階級の人々が信仰する神をヒンドゥー教と仏教がそれぞれに取り込んでいったのではないでしょうか。

不動明王は最初、如来の使者として不動使者の名で登場します。
やがて大日如来の化身として、優しいお説教では救いがたい人々を憤怒の相で教え導く役目(教令輪身)を持つようになります。
大日如来は両界曼荼羅で最高の如来とされるので、不動明王も明王のリーダーということになります。
両界曼荼羅の元になった大日経と金剛頂経は、空海が伝えた当時最先端の教えで、不動明王も重要視されます。
さらに修験道の守護者としても信仰され、全国に不動信仰が広まっていったようです。

ただそういった経緯よりも、お不動さんが日本人に愛されてきたのは、その苦しみに耐える忍耐のお顔が日本人の性格に合っていたからではないでしょうか。