シンガポールドル② | シンガポール通信

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Uniquely Singapore
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前回お伝えしましたように、、現在のシンガポール・ドルが最初に生まれたのはシンガポール共和国「独立」の1965年8月9日から遅れること2年弱たった1967年4月7日のことです。


従ってシンガポール・ドルは、その歴史未だわずかに40数年といった若い通貨*です。


もっとも、今話題の「ユーロ」(1999年1月1日~)が現金通貨として生まれたのは2002年1月1日から(10才未満!)ですから、その比較では若くない?かもしれません。


シンガポールでは1845年から1939年までは「Straits Dollar」が、その後「Malayan Dollar」が、そして1953年からはThe Board of Commissioners of Currency, Malaya and British Borneoが発行する「Malaya and British Borneo Dollar」が流通していました。


1963年8月にマレーシア連邦参画後、(わずか2年で!)連邦離脱となったシンガポール共和国は、自らの通貨ボード、The Board of Commissioners of Currency, Singaporeを1967年4月7日に設立し、この時からシンガポール・ドルを法定通貨としている、という経緯になっています。
(うーむ、ユーロ圏のどこかも似たような経緯をたどるのでしょうか?)


S$の他通貨との交換レートですが、1971年のニクソン・ショック(ブレトンウッズ体制崩壊)時まではS$60=£7と対英ポンド固定で、スミソニアン体制(1971~1973)時は米ドルリンク。
1973~1985年までは(非公開の)複数通貨加重平均ペグ。

1985年からはより市場志向型のMonitoring Bandと呼ばれる(非公開の)複数通貨バスケットのParityからの一定幅での変動相場になっています。

尤もMAS(Monetary Authority Of Singapore)が常時モニターしています。


MAS(Monetary Authority Of Singapore、中国語: 新加坡金融管理局)-


1971年1月1日に設立されましたMASは現在、シンガポール共和国の中央銀行であり、且、金融関連全般にわたる管理監督官庁の権限も担う、という非常にユニークな存在です。


日本で言いますと、日銀と金融庁が合体したようなもの(?)というと分かりやすいでしょうか。


尤も、MASのシンガポール共和国における国家組織としての位置づけは、首相府(Prime Minister Office)傘下のStatutory Boardという位置づけhttp://www.pmo.gov.sg/content/pmosite/aboutpmo.html ですので、組織のあり方という観点からは日銀の例えは適当ではありません。


まあ、これはそもそも「中央銀行」なるものの在り方**が各国まちまちですのでしょうがない話ではあります。



**

・日銀は、そもそも明治14年(1881年)に三井銀行の為替方から出てきたものですし(イングランド銀行にしても1946年に労働党政権により国有化されるまでは元々一民間銀行でした)、日本銀行法に基づく認可法人とはいえ、取引コード8301で株式取引ができるジャスダック上場会社という世界的にも極めて稀な存在です。
現在資本金1億円の内、政府出資は55%で、残り45%は民間(個人、金融機関、その他法人)が持っています。


・米国にいたっては、そもそも単一組織としての中央銀行なるものは存在せず、あるのは連邦準備制度(FRS)という制度があるだけで、ご案内の通り、FRSは連邦公開市場委員会(FOMC)と連邦準備制度理事会(FRB)と12の連邦準備銀行で構成されています。
で、連銀の中で最大の存在であるニューヨーク連邦準備銀行の株主は、ロスチャイルド銀行(ロンドン)(ベルリン)やウオーバーグ銀行(アムステルダム)等であって、米国政府は株主ではありません。


・今、渦中の欧州中央銀行(ECB) はEuropean Union(EU=欧州連合)の中央銀行として1998年に設立(本店フランクフルト)されたものであり、現在EU加盟27カ国(の各国中央銀行)が出資者となっていますが、ユーロ圏17カ国内ではドイツ連邦銀行が筆頭株主の18.9%、フランス中央銀行が第2位の14.2%、話題のイタリア(Banca d'Italia)は第3位の12.5%、スペイン(Banco de Espana)は第4位の8.3%となっています。
因みにギリシャ中銀は7位の2%。
尤も非ユーロ圏10カ国の中央銀行も株主(全体の約30%)であり、イングランド銀行は14.5%(実質第2位)を有しています。
ECBはEU(現在加盟27カ国)の中央銀行として設立されたものとはいえ、ユーロ圏17カ国のみの金融政策を管理するという、ちぐはぐなところがそもそもあり、且、昨年6月にEU加盟27カ国の合意で設立された欧州金融安定基金(European Financial Stability Facility)との棲み分けも分かりづらいものがあります。
まあ、そもそもEU(欧州連合)自体が壮大な実験過程にある過渡期(?)の組織ですので分かりづらいのも無理はありません。


さて、話をMASに戻しますが、MASのミッションとしては、

・インフレなき経済成長(これは大体どこの中央銀行も同じですね)と
安定した金融センターとしての成長(これはちょっとユニークでしょうか)
をあげています。


更に具体的な機能として以下4点をあげています。


1)To act as the central bank of Singapore, including the conduct of monetary policy, the issuance of currency, the oversight of payment systems and serving as banker to and financial agent of the Government

2)To conduct integrated supervision of financial services and financial stability surveillance

3)To manage the official foreign reserves of Singapore

4)To develop Singapore as an international financial centre

(以上http://www.mas.gov.sg/about_us/Introduction_to_MAS.html


1) と 3)は、まあ中央銀行としてよくある機能、2)は監督官庁としての機能ですが、珍しいところとしては4)でしょうか。



シンガポール通信
(世界最高額紙幣S$10,000)



2002年10月1日にThe Board of Commissioners of Currency, Singapore をMASが吸収して以来、S$現金(紙幣・硬貨共)の発行はMASにより行われていますが、流通S$通貨は全て外貨準備(USD230BIL as of May 2011)に裏付けられているとしています。
まあ、そうはいっても、殆どの国で中央銀行が印刷している現金は通貨供給量の1割にも満たない(9割は銀行システムによる「信用創造」)ものですから、余り意味はありません。



-グリーンバック-


今、通貨の信認(あるいは国家の信認と言い換えてもいいのですが)が世界で問われていますが、国家債務問題と通貨そして「信用創造」主体としての銀行システムとは不可分の問題のようです。

グリーンバックというのは、今や米ドル紙幣の一般呼称として使われますが、そもそもの起源はリンカーンが南北戦争の戦費を賄うために発行させた「政府紙幣」(利子率のある国債ではなく政府発行の単なる紙幣、まあそういった意味では軍票のようなものとも言えます)のことです。

他の紙幣(当時はいろんな民間銀行が紙幣を発行していました)と区別するために裏側がグリーンのインクで印刷されていたので「グリーンバック」と呼ばれたものです。

さてさて、今後のユーロ、米ドル、(そして日本円)の問題の展開の中で、このグリーンバック(政府紙幣)的議論が盛り上がってくるように気がするのは私だけでしょうか?