インフレ | シンガポール通信

シンガポール通信

Uniquely Singapore
with Global View

昨年+14.7%(速報値)という過去最高の経済成長を記録したシンガポールですが、物価もそれなりに上昇しています。


統計局が1月24日に発表した昨年12月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比(Year-on Year Changes) +4.6%と、2年ぶりの高水準でした。
(尚、通年ベースでは2009年比+2.8%でした。)


物価項目別では、なんといっても「Transport」が乗用車(含COE=自動車購入権)価格とガソリン価格の値上がりにより+12.8%と急上昇したのが最大要因となっています。

他には、「Housing」が+5.1%、「Education&Stationery」が+3.7%、「Health Care」が+2.7%ときて、巷で<メディアが煩く騒いでいる>「Food」は+2.1%となっています。
http://www.singstat.gov.sg/news/news/cpidec2010.pdf

もっとも、2008年の上期にはYOYベースでのCPI総合指数が+7%超という時がありましたので、それに比べますと未だマイルドといえるかもしれません。


ところで、シンガポール統計局が発表する消費者物価指数には所得階層別CPIというのが出てくるのが面白いところでしょうか。
http://www.singstat.gov.sg/news/news/cpi-jul-dec2010.pdf


これは全家計を所得毎に上位20%、中位60%、下位20%の三つに分け夫々の階層ごとの支出項目比率の違いを加味して算出しているもので、例えば昨年通年のCPI総合上昇率は前年比+2.8%ですが、所得下位20%の層のCPIは2.4%の上昇だったのに対し、上位20%の所得層では+3.1%となっています。

2009年は低所得層のCPI上昇率が+2.1%、高所得層は逆に-0.1%。2008年は低所得層+7.8%に対し高所得層+6.1%でした。
昨年は以前とは異なり、高所得層のCPI上昇率が高かったのが特徴となっていますが、理由は前述しましたように、CPI上昇要因の3分の2を、新車購入権(COE)の高騰による乗用車価格の上昇が占めた結果によるものです。

つまり、乗用車を所有し、ガソリンを消費した世帯ほど、物価上昇の影響を受けたということでしょうか。


まあ、シンガポールの自動車購入権(COE)高騰の話をともかく、一次産品価格が急騰しているのは事実でして東南アジア諸国もその影響を受けています。

例えばASEAN最大の大国、お隣りのインドネシアですが、1月の消費者物価指数が前年同月に比べ7.02%上昇したと発表しています。(2月1日インドネシア中央統計局)


天候不良による農業の不振でコメや香辛料など「基礎食料」の上昇率が16.18%に達したのが響いています。


尤も3年前の2008年通年上昇率は+11.1%でしたので、その時に比べると未だましではあるものの、今後の成り行きは大いに気がかりです。
(参考までですが、この国はアジア危機がおこった1998年には+78%というインフレを経験しています)


因みにFAO(国連食糧農業機関)の今年1月のFood Price Indexは231に達しており、アジアでも食糧高騰による暴動が起こった2008年の最高レベルを既に超えて過去最高を更新しています
http://www.fao.org/worldfoodsituation/FoodPricesIndex/en/



シンガポール通信


シンガポール通信


一次産品価格、特に燃料や食料といった生活に直接影響を与える価格の上昇というのは庶民生活(特に低所得層)を直撃し、社会の安定を根底から揺さぶるきっかけになるのは、世の常です。


一次産品価格に異常な動きがある際は常にその裏にある「胡散臭さ」が見え隠れします。

又昨年からのチュニジア、アルジェリアから、ヨルダン、エジプトに伝播し次は中東を揺さぶるかもしれない勢いの、社会不安の連鎖にも「胡散臭さ」(と共に、「きな臭さ」さえ)が感じられ、非常に嫌な感じがするのですが、兎にも角にも「要注意」です。