観光政策事情① | シンガポール通信

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5月18日、日本の外務省は「7月1日より中国人個人観光ビザ(査証)の発行要件を大幅に緩和する方針」を発表しました。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/22/5/0518_03.html


内容は、

(1)査証発行対象が、現在の「十分な経済力を有する者」から「一定の職業上の地位及び経済力を有する者」に(その表現が)改定されます。

具体的基準は公にはされておりませんが、新聞報道によりますと、
①大手のクレジットカードの「ゴールドカード」の保有者、
②官公庁や大企業の課長級以上、
③年収数万元以上の安定収入、
等の条件を総合的に判断して各在外公館が発給を決める。との事。
(「ゴールドカード」とか「課長」とかいう言葉だけが何故か妙に具体的なのですが、他ははっきりしませんねえ。)


(2)査証発行申請受付公館を現在の北京、上海、広州から、内陸部、東北部にも広げる。

具体的には、
従来、北京、上海、広州の3つの公館でのみ査証申請の受付を行っていたものを、
重慶、瀋陽、青島、大連も含め7つの全在中国公館で受け付ける。
(逆に言うと、この4公館は今まで何をやっていたのでしょうか?)


(3)査証申請を代行する取り扱い旅行会社数を拡大する。

具体的には、
現在の48社から290社に増やす。
(一体、誰が何を基準に決めるのでしょうか?)

ということが主な柱となっています。


又、
世帯主が条件を満たせば2親等以内の家族の単独渡航も認める
との事です。


外務省は今回の査証要件緩和により、
「当面、発行対象がこれまでの約10倍に当たる1600万世帯程度に増えると見ている」
との事です。


中国人の訪日観光が公に受け入れられるようになったのは、ほんの10年前の2000年からの話しであり、それも団体観光の形式でのみでした。
個人観光客に対しても査証を発給しだしたのは、なんと昨年7月からの話しです(本年6月までの試行期間)。


こういった従来の文脈で考えると、今回の措置は「迅速な対応」のようにも見えるかもしれませんが、冷静に考えますと、やはり「何を今更」の感と共に、せっかくですのでこれを契機に日本の対外開放、外国人受け入れのあり方議論が沸き起こればいいのかと感じる次第です。


まず、第一に査証(ビザ)とは何か、ですが、
Wikipediaによりますと、

「査証とは、外国人の入国に必要な入国許可申請証明の一部であり、入国許可・在留資格とは別のものである。
しばしば旅券との関係や違いが誤解されるが、旅券は「国際国籍・身分証明書」、査証は「入国許可申請証」と言い換えることができる。
また旅券は旅行者の国籍国が発行し、査証は旅行目的国が発行するものである。
査証の主目的は、(本来及び建前上は)入国しようとする外国人が入国するにふさわしいかを判断する身元審査である。
犯罪歴があるなど身元審査で不適格と判断された者には査証が発行されず、その場合原則として入国は許可されない。
また査証は、事前段階における入国許可申請証明の一部であり、査証を持っていても入国を拒否されることがある。
(とはいえ、到着空港等でお金を払えばその場で発行される国も多く、この場合は査証と言うよりも入国税徴収の性格が強い。)
査証は在留許可と混同されがちだが、査証が入国申請を行うための要件の一つであるのに対し、在留許可は入国するためあるいは入国後滞在を続けるための資格である。
混同の原因として、一般的に査証の項目に滞在目的・滞在資格が併記されていたり、また一部の国では査証と在留許可が同時に与えられることが挙げられる。
最終的な在留許可は入国審査官が決定する。
査証制度と在留許可制度が並立しているのは、査証は外務主管庁の管轄事項であること、在留許可は入国管理の一環として法務主管庁の管轄事項であることが大きな理由である。」
(以上Wikipedia抜粋、及び括弧内筆者注)


まあ、わかったようなわからないような解説なのですが、そもそも旅券(パスポート)という概念自体にせよ、現在のような形式のものは20世紀中庸からはじまったものにすぎません。
査証、(それも就労とかではなく、)単に観光目的の入国に対しても査証取得を義務付け、その査証申請の承認条件を一律に課す、という仕組みの正当性はいかほどのものか甚だ疑わしいものです。


さて、そういった中、日本国においても、短期滞在で報酬を得る活動をしないものであれば、査証を免除している国(地域)はあります。
以下外務省・査証免除措置国・地域一覧表(2010年4月現在)ご参照。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/tanki/novisa.html#list
現在61の国(地域)の人に対しては、訪日に当たっての査証取得は免除されていますが、アジアでは、シンガポール、ブルネイ、韓国、台湾、香港、マカオのみです。
(香港もマカオも中国のはずなのですが、何故中国本土人と扱いが違うのか不思議です。)

又、世界には200近い国があるわけですから、逆に言いますと140ほど(=世界の国の約7割)の国の方は訪日に当り査証が必要ということです。


一方、当地シンガポールではどうかと思い、外務省のホームページ
を調べてみますと以下の通りでした。

http://www.ica.gov.sg/services_centre_overview.aspx?pageid=252&secid=165


日本のように査証免除国リストではなく、査証必要国リスト(と共に電子申請できる査証申請フォームと分かり易い申請要件)があり、
Assessment Level 1で18の国・地域(中国本土人も香港・マカオも同一にこのレベルです)、

Assessment Level 2 で17の国の

合計35の国・地域(=世界の約17%)が査証取得の対象となっています。
言い換えますと、約160の国(=世界の国の約8割)の方は査証不要ということです。


さて、日本への国別入国者数の推移は以下の通りです。
1位の韓国、2位の台湾に続き、今や中国は米国を抜き去り3位(というか香港を合わせると既に2位です)。

通商白書によりますと、中国の世帯可処分所得が年間5,001~35,000ドルとして定義される「中間層」人口は、2008年時点で約4億4千万人(全人口の約3分の1)に達しています。


今回の「規制緩和」により、中国が1位(それもだんとつの1位)になるのはもうすぐです。



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http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/7200.html より