移動のコスト~日本の空港~ | シンガポール通信

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日本には「空港整備特別会計(空港特会)」なるものがあることをご存知でしょうか?
昨年国会で漸く話題になりました、あの道路整備特別会計「道路特会」と似た仕組みのもので、これが日本の空港建設の財源を担ってきたものです。
道路と同じで特定財源(いわゆるガソリン税や航空機燃料税等)が設けられており、又羽田など利用者の多い空港の収入は「空港特会」にプールされ日本の空港の整備や運営にまわされています。

08年度より道路特会も空港特会も「社会資本整備特別会計」なる(もっともらしい)名称に一本化されていますが、まあごまかしにすぎず、この特会の中に、道路整備勘定(道路勘定)と空港整備勘定(空港勘定)の形で残っていますので実態は以前と変わりません。

で、このような既得権益が役所にあると一体何が起こるのかというと、(毎度のことで嫌になってしまうのですが、)使われないし、使えない道路が地方に無数にできるのと同様に、使われないし、使えない「地方空港」が乱立することになります。

因みに日本に「民間空港」は一体いくつあるか皆さんご存知でしょうか?

6月4日に静岡空港が開港し、来年3月には茨城空港が開港予定ですので、そうすると、なんと 99!になります。
ほぼ100! 一体どこに? また何で?

ということで、試しに数えてみますと都道府県別で数が多いのは、北海道と沖縄が13、鹿児島が10、東京都が8という順になっています。(離島が多いところでは数が増えますね。)
逆に、民間空港がない府県というのは、栃木、群馬、埼玉、神奈川、山梨、岐阜、滋賀、京都、三重、奈良の10のみ。
つまり全都道府県47のうち約8割には少なくとも一つの民間空港があるということです。

鉄道や高速道路等の他の交通機関があるにも拘らず、又どこに空港を整備するかといったグランドデザインがないまま、地元負担が少ないがために地方が競って次々と建設してきたというのが実態です。
とはいえ「空港建設」という「政治成果」の旨い話はそこまで。建設後は、後背地人口が少なく利用者も少ない空港では、「維持管理費」と「減価償却費」が地方財政を苦しめます。
この100近くある日本の各空港の収支ですが、なんとほぼ9割以上が「赤字」だそうです。
こうした巨額の維持管理費が現実に問題となる時点では往々にして、空港建設を決めた首長や自治体、国交省の幹部は引退しています。人口減少が始まり、空港建設失敗のツケは将来世代に回されるという構図です。そして、忘れてならないのは、一般会計や特会から投入される資金が、地方空港の利用者以外の人々の負担になっているという事でしょうか。

更に驚くのは、空港別の「まともな」財務報告書が今まで作成すらされていないという事でしょうか。一部の空港に限って国交省が{稚拙な}空港別収支を公表するようになったのは今年のことです。
http://www.mlit.go.jp/common/000042536.pdf

まあ、事々左様に、ビジネス感覚のない役人がやることには毎度唖然とさせられるのですが、そうはいっても作ってしまったものなのですから、なにがしかの経営努力というものは行われねばなりません(普通行われるものですよね)。で、経営努力なのかどうかは分らないのですが、一つ面白いことを見つけました。
それは、地方空港の国際化です。

首都圏在住の人に、日本の国際線就航空港は?という質問をすれば、きっと大半の人は成田国際空港(と羽田)に関西国際空港と中部国際空港くらいの答えしか出てこないかもしれません。
ところが、今や上記3つの主要国際空港以外の地方空港の多くが海外と繋がっているのです。
以下、北から順に、
旭川空港 ソウル
千歳空港 ソウル、釜山、上海、北京、大連、香港、台北、ユジノサハリンスク、グアム
函館空港 ソウル、ユジノサハリンスク
青森空港 ソウル
秋田空港 ソウル
仙台空港 ソウル、上海、北京、大連、長春、広州、香港、台北、グアム
福島空港 ソウル、上海
羽田空港 ソウル(金浦空港)、上海(虹橋空港)、香港
静岡空港 ソウル、上海
新潟空港 ソウル、上海、ハルビン、ハバロフスク、ウラジオストク、グアム
富山空港 ソウル、上海、大連、ウラジオストク
小松空港 ソウル、上海、台北
米子空港 ソウル
岡山空港 ソウル、上海、大連、北京、グアム
広島空港 ソウル、上海、大連、北京、台北、台北、グアム
高松空港 ソウル
松山空港 ソウル、上海
新北九州空港 ソウル
福岡空港 ソウル、釜山、済州、上海、北京、大連、青島、広州、瀋陽、台北、香港、マニラ、バンコク、
ホーチミン 、シンガポール、グアム
長崎空港 ソウル、上海
大分空港 ソウル
熊本空港 ソウル
宮崎空港 ソウル 、台北
鹿児島空港 ソウル、上海
那覇空港 ソウル、上海、台北、香港

どうでしょう?ご存知でしたか?  成田、関西、中部の3つに加え、他に25の空港から国際線が飛んでいます。(来年開港予定の茨城空港を加えると26。尚、茨城空港より就航が決定している路線は本日現在ソウル線と釜山線のみで国内線は未決定のままです。単なる国際空港になったりして・・・http://www.pref.ibaraki.jp/bukyoku/kuko/)そして羽田(金浦空港)を除き、その全てがソウル(仁川空港)と繋がっています。
これはどういうことかというと、アウトバウンド、インバウンド共に、今や日本の地方空港はソウル(仁川空港)がハブとなって、世界に繋がっているという事です。
このハブ空港としてのソウル(仁川空港)というのは上記の地方空港のうち成田便があるのは千歳、仙台、小松、広島、福岡、那覇の6つのみという現実を考えると驚くに値しません。(成田空港の国内線はこの6つに加え中部国際空港、関西国際空港の8路線です)
成田のキャパ不足に目をつけたソウル(仁川空港)と大韓航空・アシアナ航空の勝ち!という気がします。