移動のコスト~シンガポールの交通事情~⑤ | シンガポール通信

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○ チャンギ空港(Singapore Changi Airport)

グローバリゼーションにあたっての交通手段といえば、やはり主役は航空機になるのですが、まっすぐそのお話に行く前に(避けて通れないのが)「空港」のお話です。
と、いうことでシンガポールといえばなんといっても「チャンギ空港」!

シンガポール島東南端(都心から約17キロ)に位置し、広さは約1300ha(成田の1.4倍)。
開港は成田に遅れること3年の1981年。2本の4000m滑走路があり、ターミナルは完成順にT-1(81年)、T-2(91年)、バジェットT(06年)とT-3(08年)と主だったもので現在4つ。60カ国190以上の都市に80以上の国際航空会社が就航しています。

年間37百万人の国際旅客(というか国内線はないので全てが国際旅客になります)に利用されており、国際旅客数ランキングではアジアでは香港(世界5位)に次いで2位(世界6位)に位置します。
因みに世界空港ランキングを国際旅客数でみると1位のロンドン・ヒースロー空港(62百万人)から4位までを欧州の空港が占めますが(2位パリ・ドゴール空港、3位アムステルダム・スキポール空港、4位フランクフルト・アムマイン空港)これは99年に始まったEU域内の“オープン・スカイ(航空路線開設の自由化)”の影響が大きいといわれています。
(成田は34百万人で、かろうじて未だアジア3位・世界7位のようですが?ドバイ・シャールジャ空港、バンコク・スワナプーム空港、ソウル・仁川空港もほぼ同数で猛追されています。というか、もう抜かれたのかなあ?)

* 尤も、国内旅客も含む年間総旅客数では、未だ米国の空港が圧倒的に多く、1位はアトランタの89百万人、2位シカゴ・オヘアの76百万人、3位ロンドン・ヒースローの68百万人で4位に羽田の67百万人と続きます。従ってアジアに限って言うと現在最も多忙な空港は羽田ということになりますでしょうか。
Data:Airport Council International
http://www.airports.org/

先に述べましたようにチャンギ空港の利用旅客数は現在年間40百万人未満なのですが、昨年完成したT-3によって取り扱い能力は年間70百万人に拡大しています。
人口480万人の国の空港が、人口の15倍ほどのCapacityを持って、すごいなあと思っていたのですが、こんなもんでスピードを緩めないところが、まさにこの国の「シンガポールらしさ」でしょうか。
常に時代の先を読むシンガポールですが、リム交通相は、昨年、「香港、クアラルンプール、バンコクだけでなく世界最大のドバイ新空港がまもなく完成すれば、シンガポールは世界の航空競争に落伍するかもしれない」と危機感を語り、同時に第4ターミナルの建設及びバジェットターミナルの拡張を発表しています。

世界不況の影響で足元を見ると国際物流が停滞しているように見えるのですが、世界史的観点で考えると(人口と同じで)趨勢的には国際航空物流、国際航空旅客輸送は拡大(爆発)せざるを得ないようです。
こういう状況にあって、日本の現状を鑑みると来年、成田のB滑走路の延伸と羽田のD滑走路の増設があるようですが、そんなもんは「焼け石に水」のきらいがあって、どうも空港容量の不足が日本の発展を阻害している感が否めないのですがいかがでしょうか。

さて、空港の競争力として求められるのは、「発着容量、(通関)処理能力と迅速さ」、「廉価な空港使用料」、「都心へのアクセスのよさ」、「よいサービスとその結果生じる高い非航空収入」でしょうか。
チャンギ空港へのアクセスについては、以前「移動のコスト、タクシー編」及び「バス・MRT編」でも触れましたように、極めて安価且効率的です。都心までタクシーで20分1000円程度。MRTで30分100円程度です。発着容量については先に述べた通り。
処理能力と迅速さですが、飛行機が着陸してからエプロンに着くまでのタキシング時間がとても短いのが特徴でしょうか。機内預け荷物が出てくる時間も驚くほど早いです。
又どのターミナルでも入国審査場所は広々としており極めて迅速に終えられます。
特に電子処理のシンガポール人パスポート保有者であれば駅の改札機械のようなものにかざすだけです。
殆ど無審査の税関を過ぎるとすぐにタクシー乗り場がありタクシーが待っています。
(個人的な話で恐縮ですが、以前飛行機が滑走路に着陸した瞬間から自分の家の玄関を開けるまでの総時間が30分を切る時がありました。)

空港内施設は一度利用された方ならおわかりのように、至るところに無料インターネット、無料市内通話電話、テレビ、無料シアター、ソファ、無料マッサージ機、仮眠スペースやフィットネスセンター、スイミングプールまでありまさに至れり尽くせりです。(お気づきの方もいらっしゃるでしょうが当然ムスリム用礼拝場所もあります)。
ターミナル間(T1~T3)は無人モノレールのスカイトレインで繋がっています。
レストラン・ファストフーズ・バー等の飲食店、コンビニやスーパーマーケット、各種ショップにサロン・エステ・マッサージ、病院にホテル等々殆どなんでもありで、シンガポール最大のショッピングプレースを形成しています。

さて、この「世界のベスト空港」常連のチャンギ空港の運営者なのですが、この6月までは交通省の外局のCAAS(シンガポール民間航空庁)が行っておりましたが、7月1日より空港運営を行う空港新会社(Changi Airport Group)と、航空交渉や航空管制、ライセンス発行機能をもつ新CAASに分かれました。
非航空収入(テナント収入等)を伸ばし、航空収入(着陸料等)への依存をできるだけ減らす」戦略を実現してきたチャンギ空港!今やそのノウハウと実績を引っさげ中国、インド、ロシア、中東の空港へのマネジメントサービスやパートナーシップ締結を積極的に展開しています。
まさに、「ビジネスとしての空港業」が浮かび上がってきます。
Changi Airport Group http://www.changiairportgroup.com.sg/cag/html/the-group/

航空会社が負担するコストを抑える為に、買い物や食事、更には自らのノウハウ輸出などの非航空収入で稼ぐチャンギ空港の姿を見ると、世界一着陸料が高いといわれる成田国際空港株式会社にはさぞかし耳が痛いことでしょうねえ。