「まァ、たいへんっ!」
……マドモアゼルも、ことのほかご心配😟
南極圏域にポッカリ浮いた世界最大の氷山「A23a」が、微速ながら現在北上中とのニュースが飛び込んできた。
イギリス🇬🇧が実効支配中の南大西洋・サウスジョージア島に向かっているというのだ。
面積にして、ロンドンの2倍、東京都の1.7倍もある、かつてない規模の大氷山。サウスジョージア島と比較してもサイズはどっこいどっこい。
サウスジョージアは、定住人口が20人程度の、もっぱら学術研究フィールドの島なので、最悪の場合でも人命に危害が及ぶことはなさそう。その時には、間違いなく脱出完了してるだろうから。
このまま、果たして島と衝突してしまうのだろうか💥…………!?

氷山てのは、南極大陸に降り積もった雪が何万年もの歳月をかけて圧密され氷河となり、ゆっくりゆっくりゆっくり時間をかけて海際にたどり着き、その先端部がちぎれて流れ出たもの。
位置的には日本と経度が真反対で、当然ながら赤道を跨ぐので、ソイツが融解分割しても、まさか日本に流れ着くことはない。
もっとも、その位置だと、南極環流とフォークランド海流という大きな潮の流れに阻まれて、南回帰線以上には北上は不可能だ。
20世紀初頭に、シャクルトン隊長以下乗組員27名が、木造機帆船・エンデュランス号とともに結氷により脱出不可能に陥った「ウェッデル海」が現場。そこに、30年以上とどまっていた静かなるドンが、こやつA23a。
僕らの昭和基地に位置的には、そう遠くない。
気候学者の心配する海水温度上昇で氷河ないし棚氷の「底面融解」が進行し、テイラー柱なる定着アンカーから解き放たれて、ドンブラコ、と桃太郎みたいに流れ出したというわけだね。
完全氷結してる巨大な塊だから、どんなに強固な装甲を施した船や潜水艦でも、もし、衝突したらタイタニック号の二の舞になる。現在、この氷山は、シャクルトン隊長がたどったルートにほぼ沿って移動している。
隊長らは、海氷漂流と徒歩移動、そして手漕ぎボートで荒れ狂う南緯50度の海を越えて、サウスジョージア島にたどり着き、最後は島の中央にそびえる山脈を自力で越えて対岸の捕鯨基地にRescueを求めた。
折しも、去年このウェッデル海の海底数千メートルで110年ほど昔に沈没したエンデュランス号が、ヨーロッパチームの無人潜水艇により発見されている。
A23aは、刻一刻とサウスジョージア島に向かって移動中である。
これも、ナニかの奇縁かもしれない。
言うまでもなく、周辺を航行する船舶は、充分に警戒しなくてはならない。





