事前講習会「葵上」報告 | 能役者青木健一のお稽古日記。

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能役者、観世流青木健一(梅若研能会所属)の日々の活動や能に対する想いを記すお稽古日記。

父一郎からの教え、芸大在学時の先生方からの芸談等を更新。

昨日行われた能楽事前講習会の報告の前に、先日の新潟公演の事をブログに書いてくださった「くりおね あくえりあむ」様、ありがとうございました。これからも日頃の活動を中心に随時報告してまいりますので、どうぞ宜しくお願いいたします。



講習会その3 さてさて、昨日は午後6時より私の自宅がある吉祥寺で能楽事前講習会を開催いたしました。


かねてよりお客様に能楽をより楽しんでいただける方法を考えていまして、近年の流行であるワークショップ形式(能の歴史、所作の実演、能面能装束の解説)の鑑賞基礎講座の実施も考えましたが、やはり能は演劇であります。一曲一曲ごとにすばらしい魅力がありますので、一つの曲を定めその曲をより深くご理解いただ講習会その2 き、その作業を繰り返していただくことで能の魅力を感じていただくことが出来たらなぁ~という思いが事前講習会を開くきっかけとなりました。


取り上げる曲目は「梅若研能会」で上演される曲目を選びました。やっぱりせっかく講座で取り上げたら実際の舞台を見てみたいと思うのが普通ですからねぇ~ o(^▽^)o



講習会は定刻の午後6時に開始。最初に「葵上」以外の8月研能会の解説(仕舞3番と能「阿漕」)を簡単にしてから、今回の本題「葵上」を読んでいきます。受付で配布したテキスト(詞章と言葉の説明、演出技法などを書いた物)を使いある場面を解説。その後ビデオを使い実際の上演風景を一緒に見ていくという形で進めまし講習会その1 た。


ちょっと難しいかと思いましたが、主役の心情をより理解していただくために詞章読解と題して、掛詞枕詞序詞がどのような働きをしているかという事もやってみました。


思いの外、ご来場いただいた方のご理解を得られたようで、自分も満足のいく結果になりました。



後半は動きが多い舞台なので、細かい説明をするよりビデオを多用して、舞台の雰囲気をつかんでいただくことに徹しました。



講習会その4 最後に「葵上」の一場面の「枕之段」と呼ばれる舞を父一郎が舞い、自分が地謡をしました。


初回にしては上々の講習会だったように思えます。今後もよりお客様に能の魅力を紹介できるよう努めていきたいです。