気ままにアウトドア -3ページ目

気ままにアウトドア

気の向くままに四季折々
  自然の中を流離う

2024年9月15日

 

 

記録的な猛暑の夏も

漸く終焉の時が来たようで

関東でも秋雨前線の影響が表れ出して

愚図つき気味な天気のこの週末

久し振りに奥秩父の名峰

甲武信ヶ岳を訪れてみました

 

 

 

 

何時ものように前夜に現地入り

西沢渓谷の駐車場で車中泊

星の見えない夜は想定通りだったが

翌朝は想定外の雨音で起こされる

雨雲レーダーを見ると

小さな雨雲が通過中で

通り過ぎるのに然程の時間も掛からなそう

という事で

小一時間程雨が止むのを待って

6:39

駐車場を出発

先ずは登山口まで林道を辿る

 

 

 

途中、ナレイ沢の登山指導所で

トイレを済ませて(駐車場にトイレ無し)

更に林道を辿って行き

7:08

近丸新道登山口へと辿り着く

 

 

 

登山道はいきなりの急登で始まる

幾度かのジグを切って登り上げれば

直ぐに緩やかなトラバース道に切り替わる

ここは嘗てのトロッコ道

至る所にレールが残されている

 

 

 

そのトロッコが運んでいたのは

ガラスの原料となる硅石

これから向かう戸渡尾根にあった

硅石鉱山からトロッコで

運び出していたようだ

その硅石、白くて不自然によく目立ち

トロッコから転がり落ちたのか

路傍のあちこちに転がっている

 

 

 

右手から滑滝となって落ちる小沢を過ぎると

小さなコンクリート造りの小屋が現れる

これは鉱山で使用する火薬の保管庫跡

鉱山は昭和38年まで採掘していたらしく

半世紀以上も時が経てば

コンクリ造りといえども崩壊が進んで

保管庫の定は成していない

 

 

 

その火薬庫跡から緩やかに下ると

7:55

ヌク沢の徒渉点

 

 

 

濡れて滑りそうな丸太橋を渡って

対岸の河原でエナジー補給がてら一休み

湿度の高いねっとりと重たい空気の中

汗だくになって歩いてきたが

ここでひんやりとした沢風に吹かれて

ひと心地つく事が出来た

 

 

 

道は河原から急な尾根道へと切り替わり

一部ヤセ尾根部分も交えて

どんどん高度を上げて行く

 

 

 

途中、棚のような小広い平地に出るが

そこは硅石をヌク沢まで降ろしていた

索道の上部駅の跡地

錆びたワイヤーや搬器の残骸が残っている

そこから更に急登道を登ると

9:41

徳ちゃん新道との合流点に辿り着く

 

 

 

そこからは戸渡尾根

文字通りシャクナゲの茂る瘦せた尾根道

登るにつれて徐々に尾根幅は広がるが

道は抉れて溝のような形状になり

大きな段差に少しばかり難儀はするが

ルートを選べば難しい事はない

 

 

 

標高2000mを超えて

シャクナゲのエリアを抜け出すと

一部美しい苔が目立ち始めるが

その上部の倒木帯へと入ると

その様子も一変

夥しい倒木が行く手を阻み

それを迂回するように

枝道が幾重にも派生する

一見、ルート取りが悩ましく思えるが

目印もあり枝道も辿って行けば

正規の道へと合わさって

然程の心配もなくやり過ごす事が出来た

 

 

 

そんな倒木帯を抜け出すと傾斜が緩み

いよいよ奥秩父らしい苔の森

昨夜の雨と漂う霧に潤されて

林床一面の苔は

しっとりとした美しさを魅せる

 

 

 

シンと静まり返ったシラビソの木立

苔に覆われて横たわる倒木

ひんやりとした空気と怪しげに漂う霧

ここはまるで異世界の雰囲気

密かに身を隠した精霊が

こっそりと此方を伺っているかのよう

 

 

 

そんな苔の森の道は

11:48

稜線の縦走路へと突き当たる

ここを西に向かって緩々と登って行けば

11:55

木賊山の山頂へと辿り着く

ここで休憩がてらエナジー補給

 

 

 

木賊山から鞍部へ向かって下りだす

中程で開けたザレ場に出るが

見える筈の甲武信ヶ岳は

ガスで姿も見えずだった

12:24

鞍部へ下るとそこが甲武信小屋

特に立ち寄る理由も無いので

そのまま甲武信ヶ岳への道を辿りだす

 

 

 

道は中々の急登道

お決まりのようにジグを切って

高度を上げて行く

もう何度も辿っている道故に

記憶の中にある見覚えのある景色が

山頂までの道程を指し示すよう

新鮮味は薄いが新しさはある

今見える景色を素直に楽しもう

 

特徴的な露岩部をやり過ごすと

そこはもう山頂部

12:47

甲武信ヶ岳の山頂へと辿り着く

 

 

 

山頂には一人のトレランさんのみ

百名山らしからぬ静けさで拍子抜けするほど

期待の展望もガスがかかってほぼ皆無

辛うじて西側が望めるだけだった

 

 

 

という訳で

山頂からとんぼ返りのように引き返す

鞍部の甲武信小屋から

木賊山へと登り返す

開けたザレ場で振り返ると

一瞬だけ甲武信ヶ岳が姿を見せる

 

 

 

13:28

木賊山まで登り返せば

後は緩々と下るのみ

秩父の森は鹿の食害で

野草はほぼ壊滅状態

せめて美しい苔でもとカメラを向けながら

縦走路を下って行く

 

 

 

分岐点を戸渡尾根方面へ

相変わらずの美しい苔の森を下って

再び霧の中へ

 

 

 

林床にはまだ苔が沢山

 

 

 

更に下降を続けて

厄介な倒木帯の道をクリアすれば

 

 

 

シャクナゲ帯へ入って程なくすれば

15:30

近丸徳ちゃん分岐点へと辿り着く

登りは近丸新道でしたが

下りは徳ちゃん新道で

 

 

 

下り始めは結構な急下降路でしたが

次第に傾斜が緩み広尾根の道となる

辺りは美しい広葉樹の森

新緑や紅葉の季節には

さぞや美しい光景が見れるだろう

 

 

 

そんな広尾根の道は長くは続かず

再びの急下降路が始まった

山行の終盤

疲れた膝を労わりながら

緩々と高度を落として行けば

 

 

 

やがて笛吹川の水音が聞こえだして

16:42

徳ちゃん新道登山口へと

何とか下り立つ事が出来た

 

 

 

後は緩々と林道を辿るだけだ

道すがらでは

西沢渓谷へ向かう観光客らしき人たちが

こんな時刻でも幾人もやって来る

山の怖さを知らぬのか?

登山者の中での常識は

彼らの中には存在しないのだろうか?

ちょっと気になる帰り道でした

 

17:10

西沢渓谷駐車場へと到着です

 

 

 

久し振りに南側から登った甲武信ヶ岳

標高差が大きいロングコースで

中々登り甲斐のあるルートでしたが

上部の苔の森は盛夏に育った苔が

水を得てとても美しい状態でした

愚図つき模様の天気の日は

山を敬遠してしまいがちですが

こんな美しい光景を見てしまうと

雨の森も悪くないなどと

想い直した山旅でした