赤城小黒檜山から黒檜山へ | 気ままにアウトドア

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2024年3月22日

 

 

半ばホームと化している赤城山ですが

まだ自身未踏の峰が幾つか

その中の一つ、小黒檜山は

赤城山北部に位置して訪れる人も稀な山

是非とも雪のある時期に

登ってみたいと思う峰でした

今冬は2月に暖かい日が続いて

山間部の降雪が少なく

今季は登るのを諦めていたのですが

ここへ来て一転、まとまった降雪があって

好条件が揃った次第

俄然、往訪の意欲が湧き上がって来たのでした

という訳で

今回は五輪峠から小黒檜山経由で

黒檜山へと登ってみました

 

 

 

 

朝の通勤ラッシュに捉まらないようにと

自宅を早めに出たつもりでしたが

ちょっと甘かったようです

赤城山上の大洞に着いたのは

9時を過ぎてしまいました

黒檜山登山口前の駐車スペースへ車を停めて

9:24

車を出発

先ずは沼田市へ抜ける県道を辿る

例年ならここは冬季閉鎖中なのですが

今冬は少雪という事で除雪もされて

通行も可能な状態

前夜の雪が薄っすらと積もる道を

九十九折に登って行き

9:43

五輪峠へと辿り着く

ここでスノーシューを装着して

黒檜山へ続く尾根へと取り付く

 

 

 

積雪はトータルで4~50㎝か?

表面には前夜の雪が10㎝ほど積もっていて

スノーシューがいい具合に働いてくれる

ボッフ ボッフと新雪を踏んで

尾根を東に向かって辿って行けば

右手の樹林の切れ間には

まだ大沼が間近に見え隠れする

 

 

 

暫しの尾根歩きのあと

もうそろそろ大洞からの道がある頃と

辺りを見回せば・・・

ありました

樹木に巻き付けた青と黄色の目印テープ

ここで漸く本来の辿るべき道に

辿り着いたのでした

雪の多い年ならば

大沼湖畔から直接ここまでの

ルート取りになるのですが

今回は県道を通って五輪峠経由

随分と遠回りをしてやって来ました

後はこの目印に沿って

旧道を辿って行けば良い・・・はず

 

 

 

ところが、その目印テープ

かなり古いもので色合いも悪く

氷雪の付いた状態では殆ど目立たない

最初の幾つかは見つけられたものの

次第に見つけられなくなって

後は本能の向くままに(笑)

倒木を避け歩きやすい斜面を選んで・・等と

状況優先に進んで行くと

小尾根の突端に美しい氷瀑を見つける

「う~ん、中々のスタイル!」

きっと正規のルートを辿っていたならば

この美しい光景には出会えなかったかも?

と、能天気に眺め入ってしまう

とは言っても

全くのロスト状態ではなく

時折GPSで確認しながらだったから

左右にふらついてはいるものの

概ね方向は間違ってはいませんでした

 

 

 

GPSを参考にその氷瀑の小尾根を登る

すると再び目印テープ発見

再度GPSを確認すると

道はここからトラバース気味に登っている

「なるほどー」と、辺りを見回すと

やはり目印テープが遠くに見えました

「よしよし、この方向に進んで行けば

良いんだな」

という事で地図に記された通りの

真っ新な雪面を斜上気味にトラバース

 

 

 

この先は地形的に複雑さは無くて

素直に想定できる方向に進んで行けば

面白いように目印テープが現れる

ただ、幅広のスノーシューで

斜面のトラバースは意外にも歩き難いもの

斜面に体を向けてカニ歩きという

小技も繰り出しながら黙々と進んで行く

気付けば何時しか上空は青空に変わって

辺りはパ~ッと明るくなった

樹々にまとわりつく霧氷も輝き出して

まるでクリスタルをまとったよう

すると不思議なもので

こちらの気分まで明るくなってくる

 

 

 

「やっぱり雪山はこうでなくっちゃ」

ここまでただひたすらに雪面を睨みつけて

黙々と歩いてきたのは何だったのか?

陽射しの力は暖かさだけではないと

この時改めて気づいたのでした

 

歩き難いトラバース斜面は

徐々に傾斜が緩み出して

12:26

尾根上部へと這い上がった

「ふう~」と大きく息を吐くと

無意識に肩の力が抜けてゆく

もう面倒なルーファイはここで終了

後は顕著な尾根を単純に辿るだけとなった

 

 

 

斜面の道から尾根上部の道へ移ると

何と歩きやすい事か

スノーシューの歩幅も延びて

知らず知らずのうちに歩調も上がる

尾根は緩やか上り斜面に切り替わり

サクサクと登って行くと

12:41

小黒檜山山頂へと辿り着く

山頂には大きな電波反射板

こんな物がここにあったとは

これまで何度も

黒檜山の絶景スポットから眺めていたけれど

この存在は気付かなかったですね

 

 

 

山頂からは北側に展望が開けて

見えるであろう上越国境稜線は

残念ながら雪雲の中でした

という事で山頂滞在は僅かな時間

往路の尾根を戻って

風の避けられる場所を見つけて

暫しのランチ休憩をとる

樹林の切れ間から見える黒檜山は

こちらから見上げるのは初めて

ちょっと手強そうにも見える

 

 

 

尾根は緩やかにアップダウンを繰り返し

黒檜山へと向かって続いている

13:18

緩やかな高まりの爺黒檜を通過

そこから尾根は緩やかに鞍部へと下りだす

 

 

 

鞍部からは当然ながら登り返し

小さな露岩が現れて

それを越えようとしたが

スノーシューでは難しく左側斜面を巻く

恐らく雪が無ければ藪なのだろうけど

上手い具合に通過する事ができた

さあ、後は山頂まで上り一辺倒

徐々に傾斜も増してきた

 

 

 

登るにつれて新雪の量も増えてきた

スノーシューの一度の踏み出しでは

ステップは決まらなくなって

二度三度と踏み込んで雪を踏み崩し

漸く一歩が完結するという

何とも効率の悪い登行となった

赤城山でこんなラッセルを体験するとは

想定外だった

 

 

 

独り黙々とラッセルを熟して

何気に見えた大沼の風景が

何と美しかった事か

少しばかり疲れを癒してくれたのでした

 

 

 

ですが、そんな癒しも気休め程度

相変わらず厳しい独りラッセルは続いて

中々終わりは見えない

荒い呼吸で上部を見上げれば

真っ新な雪面と

そこから立ち上がる霧氷をまとった樹々が

永遠に続くかのように思えてくる

「いやいや、そんな事はない」と

改めてGPSを見ると

山頂までは標高差100mほどと分かって

俄然、気力が戻って来た

踏み出す一歩も心なしか軽くなり

前方の霧氷の隙間に青空が見えてきた

14:36

黒檜山北側の絶景スポットへと登り着く

 

 

 

絶景スポットには珍しく誰もおらず

冷たい北西の風が吹いているだけだった

お馴染みの上越国境稜線は雲の中

先程までいた小黒檜山を見下ろせば

あの反射板が見えている

どうしてあれを気付かなかったのか?

これまで何度も眺めていた景色だけれど

上越国境ばかりを眺めていたんだと

今回初めて気付いたのでした

 

 

 

山頂部は相変わらずの霧氷地帯

ここまで散々

霧氷の中を歩いてきた筈なのでけれど

登り終えた山頂で見る霧氷は

やっぱりひと味違って見えるものだ

 

 

 

上越国境稜線は見えなかったけれど

浅間山はちょっとだけ姿を見せて

日光方面はそこそこの見え方

こちらは高気圧の範囲なのが分かる

 

 

 

14:51

山頂まで来て

ここでスノーシューからアイゼンへ換装

 

 

 

稜線道を緩っと辿って

御黒檜大神手前の登山口下降点

 

 

 

確りと雪の付いた登山道を下って行けば

 

 

 

傾斜が緩んだ岩ガレ部

南側の展望が開けて

西日を受けた駒ヶ岳西斜面

霧氷がいい具合に眺められて

 

 

 

見下ろせば怪しい色合いの大沼と

南側の山が望める

 

 

 

更にどんどん高度を落として行き

猫岩を通過すれば

登山口までは残り僅か

尾根から北側斜面に入ると

トレースは枝分かれして乱れてはいるけれど

歩き易そうな道を選んで下って行けば

 

 

 

15:53

黒檜山登山口へと

無事に下り立つ事ができました

 

 

 

積雪期を狙っての小黒檜山

入山者はほぼ皆無の状態で

中々厳しい山行でしたが

それでも充足の一日を過ごして

良い山行となりました