2023年3月11日
”荷鞍山”この山を知る方はいないだろう
というのも昨年アヤメ平を訪れた時に
湿原の向こうの三角の頂きを目にして
興味をそそられた山だからだ
地図を見るとお隣の白尾山へは
富士見峠からの道があるが
そこから尾根続きの荷鞍山へ
通ずる道は無し
如何やら登山対象の山ではなさそうだ
ならば積雪期なら登れるかも?
との想いから今回のトライに至りました
何時ものように前夜に現地入り
”道の駅かたしな”で車中泊
ここは人気度が高いのか?
明け方には8割方埋まってました
皆さん朝一でスキー場へ向かう
方達のようでしたね
翌朝、戸倉スキー場へ移動
スキー場の駐車場は
利用者以外はお断りのようで
登山者には法外な料金が科せられるよう
なので、手前の小広い路肩に駐車です
6:43
身支度をして車を出発
先ずは車道を歩いて戸倉スキー場へ
ゲレンデは昨日の内に圧雪が済んでるようで
きれいな雪面が仕上がってました
先ずは中央のリフトが掛かる尾根へ
カリカリに凍ったゲレンデを登って行く
アイゼンが必要かな?
と思ったが何とかフリクションが効いて
尾根上部へと登り上げる事が出来た
更に尾根上部に沿ってゲレンデが続き
そのゲレンデ脇を登って行く
中ほどで登って来たゲレンデを見下ろせば
対峙する山並みに漸く朝日が当たりだして
青い空に良く映える
あの峰の向こう側には”坤六峠”があり
もうそこは奥利根のエリアだ
7:45
ゲレンデトップまで登って来た
正面の向かう尾根を眺めると
目指す荷鞍山の頭がチョコンと見える
ゲレンデからカラマツの植林地へ入ると
途端にズボりだす
表面は堅雪だが中はスカスカのモナカ雪
堪らずここでスノーシュー装着
目の前には印象的なミズナラの樹
大きくて中々の古木だ
カラマツ林から尾根を辿る
雪面にはBCの微かな滑走跡があるのみ
それを辿るように登り上げると
8:15
そこは1451m峰
ここで水分補給がてらウエア調整
1451m峰から暫くは緩やか尾根が続き
雪庇が発達しているものの
樹林際を行けば然程の怖さもない
そんな尾根を能天気に辿って
1699.5m峰手前の急斜面に差し掛かる
ここはちょうど南向き斜面
ここのところの暖かさで
雪はすっかり融け去っていた
ここで再びツボ足登行
懸念していた藪漕ぎは無いけれど
落ち葉の下は凍った地面だった
ここが意外に難儀
いつ滑るとも分からない斜面を
慎重に登って行く
全くのバリエーションルート故に
ステップ等ある筈もないが
意外な事にここには獣道が存在
最近、尾瀬でも鹿の食害が問題視されているが
幾本もの樹皮を剝がされた木が
そこかしこに見られて
糞もそこら中にある
まるでここは秩父山中か?
と思えるほどの痕跡の多さだ
そんな急斜面を何とか登り上げると
目の前に露岩が現れる
右側はスッパリと切れ落ちた斜面
ここは左側から巻くしかなさそうだが
そちらは凍った斜面だった
アイゼンを着ければ何て事ない斜面だが
僅かな距離故に億劫がって
ツボ足のままそこを何とか巻き上げて
尾根上部に出ると
そこは露岩と瘦せた岩尾根
真面に考えても
とても進めるような尾根ではなくて
堪らずに再び左側斜面に逃げたのだが
そこはそこで深い雪の急斜面
スノーシューでなければ
とても無理な深さだった
本来なら安定した平地で装着したいが
ここにはそんな場所は無い
深雪を踏み固めて僅かな広さの雪棚を造り
何とか装着する事が出来た
さて、ここから雪斜面のトラバース
深雪に上手くステップを刻みながら
進んで行けば
目の前には再び急登斜面が現れる
見るからに直登は無理そうな傾斜
ここはスキーのキックターンの如く
幾度かジグを切りながら
徐々に高度を上げて
漸く斜面を登り上げる事が出来た
その先は安定した雪尾根が現れて
10:18
1699.5m峰へと辿り着く
ここで暫しの少休憩
エナジー補給をしながら
右手を眺めると
春霞の中に奥日光の山々が見える
安定した尾根は長くは続かず
直にヤセ尾根へと切り替わり
コメツガとシャクナゲの藪が始まる
ツボ足なら兎も角
スノーシューを着けたままでは
とても突破出来そうに無い
そんな藪を嫌って
右手の雪庇側に逃げるが
そちらはそちらで
胸ほどの高さの段差続き
雪を切り崩して何とか這い上がっても
直ぐに次の段差が控えてる
そんな事を繰り返していると
もう自分が何をしているのか
分からなくなってくる
1699.5m峰を過ぎてから
緩いアップダウンを繰り返して
進んできた尾根だけれど
藪と段差の雪庇に阻まれて
中々思うようにペースが上がらない
11:37
そしてとうとう
スッパリと切れ落ちたヤセ尾根で行き詰まる
辺りを覗き込み観察すると
ここを突破するには少し戻って
左側斜面をトラバースする必要がある
それにはアイゼンとピッケルが必要だ
背中のザックにはどちらも忍ばせてはあるが
自身のモチベーションはここまでだった
ここを無事に突破出来ても
その先に難関が無いとも限らない
何せここはこれまでに記録の無いルート
ここは潔く撤退を決めるのが
妥当な選択だった
GPSを見ると
ここは標高1715m地点
荷鞍山まではまだ半分ほどの距離だった
撤退を決めると
グッと気持ちが楽になった
未知なるルートを辿る緊張感から解放されて
辺りの風景を楽しむ余裕も生れる
左手下方に見えるウルシ沢の景色
何とも長閑に見えるのは
開放感が生み出したものか?
難儀だった藪や雪庇も
復路となれば要領も掴めて
然程の苦も無く突破できてしまう
12:21
1699.5m峰まで戻ってきた
ここで暫しの昼食タイム
振り返れば樹林を透かして
荷鞍山の姿が確認出来る
1699.5m峰から
難儀だった岩尾根を避けて
右側斜面へ回り込む
かなりの急斜面のトラバースとなるが
岩尾根を辿るよりは
随分と楽をする事が出来た
そのトラバースから雪の無い尾根に出る
相変わらず落ち葉の下は凍った地面だけれど
気を付けながら下れば問題無し
再び雪の尾根に乗って下って行けば
往きに気付かなかったマンサクの花
こんな雪の残る山中にも
春は着実にやって来ていた
さあ、残すは1451m峰
午後になって大分雪は緩み
スノーシューもかなり浮力は落ちたが
ツボ足よりは遥かに効率は良い
緩やかに登り返して
そのピークに辿り着けば
後はゲレンデまで尾根を下るのみ
14:33
真っ直ぐな幹のカラマツ林を抜けると
そこはゲレンデトップ
ボーダーたちが思い思いにシュプールを描き
今朝の閑散としたゲレンデとは趣が違う
そのゲレンデ脇を
滑走者に気を付けて下って行く
思ったよりも長いゲレンデ歩きだったが
無事にスキー場入り口まで下りる事が出来た
15:25
車へと到着です
今回辿った荷鞍山への尾根
ネット上を漁ってみても記録は見つからず
唯一、見つけたのは
BCさんの別の尾根からの記録だけでした
今冬の少雪とここのところの暖かさ
今回の尾根を辿るには厳しすぎる
条件でした
次回は冬路沢から富士見峠へ上がって
北側から荷鞍山へアプローチ
そんなプランも良いのかなと思ってます
ま、今季は無理ですけど
何時かはきっと
という想いで・・・