2022年7月17日
(その一)からの続きです
徳ちゃん新道との合流点まで登り上げて
暫しの休憩後
稜線に向けて戸渡尾根を登りだす
合流点から暫くは緩やかな道
辺りは鬱蒼と茂るシャクナゲ帯で
トンネル状に覆い被さった枝葉の中を
緩々と登って行く
途中、道の所々に白い花弁が散り落ちて
シャクナゲは見頃を過ぎた事を知る
そんなシャクナゲのトンネルは
徐々に傾斜を増して
道は樋状に抉れ始める
両岸の高さは1mを超えるほどか?
幾つかの大きな段差では
手前からその岸上に迂回せねばならない
これが意外にも難儀
迂回路に気付かずに
段差まで上り詰めた事が幾度かあって
その度に迂回路まで戻るという羽目に
登りはどうしても足元に目が行って
周囲の状況に気付き難いものです
シャクナゲ帯を抜け出すと針葉樹の森
先程まで霧雨だった雨粒は大きくなって
しとしとと梢を打ち始めた
レインウェアを羽織ろうか?と思ったが
降りは然程でも無く
枝葉の先から滴り落ちる水滴が邪魔な程度
風も無いしこの蒸し暑さを考えて
ザックから傘を取り出した
このチョイスが大正解
片手は塞がってしまうが
蒸れる事も無く快適に登る事が出来た
道は一度小さな露岩部に出る
(2111m標高点?)
西からの緩い風に流されて
雨粒が落ちて来て展望は無いけれど
その露岩には
今日、二つ目の花を見る事が出来た
秩父から伊豆にかけての富士火山帯にだけ
見られるコメツツジで
本当に可愛らしい花でした
露岩部から再び針葉樹の森へ
道は平たいガレ石が占めるようになり
浮石に気遣いながらの登行となる
森の樹々は徐々に樹間を広げて
やがて辺りは倒木帯
正規の道は至る所で倒木に塞がれて
幾つもの枝道が
そこを迂回するように付けられている
ちょっと分かり難い場所でしたが
進む道を見失わない事を念頭に行けば
正規ルートへの復帰は容易なものでした
そんな倒木帯を抜け出すと
道は緩やかになり
辺り一面を苔が覆い出す
以前からここの苔は知っていたけれど
今日は雨に濡れてしっとり瑞々しく
格別な美しさを見せてました
雨に濡れての山歩きは好まないけれど
こんな光景を目にすると
雨の山も悪くはないと思えてくるから不思議
10:50
苔の道はそのまま稜線の分岐点へ
ここを甲武信ヶ岳方面へと向かう
道は相変わらず緩やかに続いて
先程のシャクナゲ帯では見られなかった花が
ここではちょうど見頃の咲き具合
11:01
そんなシャクナゲを愛でながら
稜線の道を行けば
程なくして木賊山の山頂に辿り着く
ここで暫しの少休憩
エナジー補給をして
甲武信ヶ岳との鞍部へと下って行く
途中、開けたザレ場に出るが
何時もは間近に見える甲武信ヶ岳も
今日はこんな天気で望む事も出来ない
鞍部へ下ると右下に甲武信小屋が見える
が、寄らずに山頂へ向かう
毎度の事なのだけれど
ここの登りが意外にキツイ
道は幾度かのジグを切って高度を上げる
心拍は容赦なく鼓動を速めて
それを調えるように立ち休み
そんな事を幾度か繰り返して露岩部へ出ると
今しがたまで降っていた雨は止み
山頂の頂標が見えてきた
12:00
甲武信ヶ岳山頂へ到着
(自身六度目の甲武信ヶ岳山頂)
山頂には多くの登山者の姿
百名山の人気の度合いが良く分かる
何時もはここで展望写真をとなる所ですが
今日は生憎の天候で展望は皆無
頂標だけ撮って
往路へと引き返したのでした
頂稜の露岩部で花の写真を二枚だけ撮る
一つは高山型のタカネニガナ
そしてもう一つはホソバヒメシャジン
花弁裏側に細い毛が見えるのですが
萼が反り返ってチシマギキョウではなさそうです
露岩部から針葉樹林の中へ
ここも苔が見事な場所
その苔の林床に一風変わったものが沢山
ゼニゴケのような地衣類のような?
帰宅後に調べましたが正体は分からず
でもこの黄緑色が何とも怪しく美しい
これもまた雨の森の成せる技?
12:33
鞍部へと下りて小屋を覗いてみる
相変わらず素朴な造りの佇まい
ここも多くの人が屯してました
小屋から木賊山へと登り返す
途中の開けたザレ場で再びの雨
樹林の中に逃げ込めば何とか凌げそうと
頑張って斜面を登り上げる
息が切れたけど濡れは少しで済んで
木賊山へと辿り着く
ま、速乾ウエアだしこの程度の濡れは
この暑さの中では
意外にも気持ち良かったり(笑)
この後は全て下り道
稜線分岐から戸渡尾根へと進路を変えて
苔の道 倒木帯 岩ガレ道を下れば
シャクナゲ帯へと入り込む
その林床には真白なキノコの群れと
それに劣らない白さのギンリョウソウ
薄暗い林床にこの白さは良く目立つ
シャクナゲ帯を下った先は戸渡尾根の分岐点
ここでエナジー補給して
下山は徳ちゃん新道を選択
急な尾根道を下りだすと再びの雨
今度は梢を衝いて滴る雫も大きくて
再び傘の出番
これが本当に便利で
今日のような短い降りの時は大活躍でした
急な尾根道は幾度か傾斜を緩める場所がある
その都度、大腿筋を休ませながら少休憩
ですが、下部の唐松林まで下ると
道は赤土の滑る斜面に切り替わる
ヌルヌル ネチョネチョ
関東ローム層と呼ばれる火山灰土でしょうか?
せめて尻餅だけは避けたいと
妙にぎこちない足さばきでしたが
16:19
無事に登山口へと下り立つ事が出来ました
後は林道を歩いて西沢渓谷駐車場へ
標高差が1300mを超えるこの山は
何度登っても堪えます
途中、ヌク沢で泥だらけの靴を洗って
重くなった脚で林道を戻る
今朝は薄暗くて気付かなかったタマアジサイ
林道の斜面で丸い蕾が膨らんでました
16:57
西沢渓谷駐車場へと到着です
幾度も登っている甲武信ヶ岳ですが
これまでは秋から冬にかけての時期ばかり
この暑い時期には新鮮でした
それにしても野草が少なかったこと
野生の鹿がこのまま増えてしまえば
本当に秩父山地の野草は
絶えてしまうかも知れません