野門ルートから女峰山を目指して | 気ままにアウトドア

気ままにアウトドア

気の向くままに四季折々
  自然の中を流離う

日時

2017年8月4日

 

ルート

野門集落ゲート前P⇒布引滝遊歩道入口⇒富士見峠⇒帝釈山(往復)

 

***

 

古来から山岳信仰の対象だった日光の山々

女峰山も例外ではなく幾つもの登拝ルートがあった

その中の一つで予てから気になっていた北側の野門ルート

今は訪れる人もなく道は手入れもされず放置されていると云う

名瀑の布引滝を訪れる人はいるが

ここから富士見峠へ上がる人は稀で

”山と高原地図”にもルートは記されていない

その古の道から今回は女峰山を目指してみました

 

***

 

前夜、いつものように現地入り

野門集落の上部にある林道入口の駐車場で車中泊

 

翌朝起き出して準備をしていると

早朝ウォーキングのお爺さんに声を掛けられる

どこへ行くのか尋ねられ「女峰山」と応えると

「布引滝の道は毎年手入れをしているが

富士見峠の道は随分と手入れしていない」とか

「ここから富士見峠へ上がる人は最近見てない」とか

「熊だとか鹿が沢山いるぞ!」とか

並べ立てられてしまった

そのどれもこれも承知の上で来たのだが

地元の方に言われるとちょっと不安にもなってくる

しかしながら最後に「まあ、気を付けて行って来い」と言われ

少し気を取り戻す事が出来た

 

5:40

ゲート前の駐車場を出発

 

野門集落上部の林道入口(ゲートは開きっぱなしのよう)

 

舗装された林道をてくてくと歩き出す

今日は久しぶりの登山なのでゆっくりとウォーミングアップ

30分程で次のゲート

ここは確りと閉じられていた

 

 

 

ゲートを過ぎても更に林道は続く

朝霧なのか雲なのか

薄いガスが漂う中を登って行く

 

ツリフネソウ

 

 

奥に見えるのが太郎山

 

 

こんな林道が続く

 

 

タマアジサイ

 

 

林道が大きくカーブした内側に資材置場があった

そこのU字構に腰掛けて朝食を摂る

ここまで来るのに適当な場所が見つからず

乾いたU字構を見つけてついついとなってしまった

 

相変わらずの舗装された林道歩き

覚悟はしていたが単調すぎる

 

7:27

左側に山神様の鳥居が現れる

 

山神様の鳥居

 

 

以前にヤマレコで見た鳥居だった

ここから林道をショートカット出来る古道がある筈と

その鳥居の方に登ってみると確かに古道らしき道形

しかし、それは本当に道形だけ

踏まれた跡も無くて不慣れな方には唯の笹に覆われた林床でしかないだろう

 

その道形を拾ってジグザグに斜面を登って行く

所々に古い空き缶が転がっていて

それは嘗ての道だった証

昭和後期のデザインが懐かしい

 

こんな空き缶が道標

 

 

古道は林道へと這い上がる

再び単調な林道歩きだ

 

左側に布引滝の展望台

眺めて見るが滝は遠くに小さく望めるだけ

視力の落ちた自分には楽しめない場所でした

 

8:14

やっと林道終点に到着

ここは野門沢の砂防工事現場へ資材を搬入する

クレーン操作場でもありました

そして、布引滝への遊歩道もここから始まります

 

遊歩道入口

 

 

ここでも工事現場のお兄さんに驚かれました

ここから女峰山に向かう人は初めてだと

どうやら地元の若い方達は古道の存在を知らないようでした

 

遊歩道は今朝のお爺さんが言ってた通りよく整備されてました

勾配も然程ではなく舗装路から解放された嬉しさで歩調も軽々です

 

気持ちの良い遊歩道を行く

 

 

8:38

布引滝と富士見峠への道の分岐点に到着

と言っても案内表示板には

布引滝方面を指す矢印があるだけでした

 

布引滝を指す矢印

 

 

その滝の方へ少し下ると布引滝が見えました

本当に大きな滝で一見の価値がありそうです

 

分岐点から望む布引滝

 

林道終点にあった説明版

 

 

富士見峠への古道はこの分岐点を右へ

矢印と反対方向へと登って行きます

登りだして直ぐ

山の神の祠がありました

傍には大きな古木もありいい雰囲気を醸し出しています

 

 

 

道は意外にも確りとした路

あのお爺さんの言っていたことが信じられないくらい

 

今も現役のような古道を行く

 

 

こんな祠の中には

 

穏やかなお顔の仏像さんが鎮座してました

 

 

倒木が通せん棒(整備してないのでこんな事はあるあるですね)

 

 

高度が上がると辺りの雰囲気も変わってきました

辺り一面がこけ苔状態

北八ヶ岳の苔の森にも引けを取らないくらいの素晴らしさ

だがしかし、道の状態は洗掘で露わになった石に苔がはびこり

つるつるヌルヌルでスリップ注意状態でした

*(多分この辺りが水場の金冷泉かも?左に尾根を辿れば帝釈山かな?)*記憶用*

 

 

 

 

 

道標も頻繁に現れて

こんなのや

 

こんなのが

 

 

 

道標は100mおきくらいに現れて

道迷いなんて考えられないようでした

 

こけ苔地帯から抜け出すと

緩やかな台地上のような道へ

辺りはシラビソとコメツガの原生林

その中を貫く一本の林道状の道形

その道形は背丈ほどの針葉樹の幼木が覆いつくし

道形の中心に細い踏み跡が続く

そして、先程まで頻繁に現れた道標は姿を消して

目印らしきものは一切なくなってしまった

今朝、お爺さんが言っていたのはこの事だったのかと

今更ながら納得したのでした

 

針葉樹の幼木をかき分けて

 

 

造林小屋跡地(焼小屋かな?)瓶やビールケースが散乱してました

 

 

緩やかな道は延々と続く

登山が目的なのだから高度を稼ぎたいのだが

殆ど高度は上がらずだ

地図を見てそのことは分かっているのだが

展望も無い藪漕ぎ道に些かげんなりだ

高度が上がり始めるのは南に向かっていた道が

北向きに大きくターンする場所から

地図ではそこからジグザグに4回ターンして

斜面を登りだすよう記されているのだ

 

そして、やっと最初のターンポイント

道は北向きに変え緩々と登って行く

続いてもう一度ターン

今度は南向きへ

 

ここでカーブを曲がり切った左手に目印テープを発見

ヤマレコで見たショートカット路のよう

 

ショートカット路入口

 

 

迷わずこの道へ入り込むと

そこは道とは程遠い唯の原生林

獣道の方がはるかに道らしいと思ってしまった

 

これがショートカット路

 

 

この道は短いスパンで目印テープがあるから迷わなかったものの

それがなければ迷わず進むことは不可能だったろうと思う

 

ショートカット路から林道状の道へ飛び出すと

直ぐに4回目のターンポイント

ここを南へ進めば目的地の富士見峠は近い

 

こんな斜面を通過して

 

 

小真名子山が見えて来た

 

 

11:12

富士見峠へ到着

 

 

 

富士見峠 来し方を振り返る

 

 

ここからは一般ルートを女峰山を目指して登ればいい

だがしかし、登りだすもペースが上がらない

ここまでの疲れもあるがシャリバテだった

ここまで何度か休憩を入れ補給をしてきた筈なのだが

ハンガーノック寸前の状態

おにぎりをパクついて何とか落ち着きました

 

帝釈山への道(かなり荒れてます)

 

 

ウスタケ

 

 

お腹が落ち着き

再び登行を開始

そんな直ぐに血糖値が回復する筈が無いのだが

不思議なものでどこからか活力が湧いてくる

 

12:47

帝釈山山頂へ到着

 

帝釈山の山頂

 

 

今日は生憎の天候

すぐ傍の小真名子山も見えない

おびただしい数のアキアカネの乱舞だけが印象的だった

 

乱舞するアキアカネ

 

 

タカネニガナ

 

 

さて、時間はタイムリミットを迎えてしまいました

峰続きの女峰山へは往復CTが1.5時間

どうやら今回は諦めなければならない時刻

ここは潔く下山と致しましょう

 

13:45

富士見峠へと戻ってきて

ここで小休憩

 

オトギリソウ

 

 

富士見峠から北へ往路を戻って

先程のショートカット路を下る

そしてその先のターンポイントを曲がると

先ほどは見落としたもう一つのショートカット路入口

こちらは目印テープのスパンが長く

見つけるのが大変だった

それでも何となく道とするだろうと思われる地形を読んで

下って行くと目印テープを見つけることが出来た

 

「これはもう才能か?」

 

と一人ほくそ笑む(変人だね)

ショートカット路は林道状の道へ出ると

北へ向かって台地状地を行く

 

その台地状地から下り傾斜へと切り替わる辺りで

あろう事かロストしてしまった

やはり下り道はルーファイの点でも油断は出来ない

 

「来る時はこんな所は通ってないなー」

 

と思っていると

 

目の前に凄い物を見つけてしまった

明らかに遭難者の所持品と思われる物が散乱していたのだ

テント シュラフ コッヘル ・・・

それもみんな畳まれて使用されていない状態だった

 

しかし

 

よく見るとメガネレンチやバイク用のブレーキレバーなども

 

「これは登山者じゃないなー」

 

自分は若かりし頃、林道ツーリングにハマっていたが

その時はいつも予備のレバー類を持ち歩いていた

転倒してレバーを折ってしまう事はよくある事

山中でのトラブルは命取り

予備品が必携だったのだ

 

「これはライダーのものか?」

 

でも、「メガネレンチがバイクには大きすぎるな」

 

などと詮索するうちにスノーモ-ビルを思い当った

この辺り、冬はかなりの積雪量

戦場ヶ原から野州原林道を登ってくれば

この台地状地へ辿り着く事ができる筈

 

そして、「マシントラブルか吹雪に巻かれたか?」

 

そんな想像を掻き立てられる遺物だった

 

 

遭難者の遺物か?

 

 

いやいや、吞気にそんな想像をしている場合じゃない

自分は今ロスト状態なのだ

早くルートに復帰せねば

 

下って来た斜面を引き返し

明らかにルートと思われる場所まで戻ってみると

ほんの僅かな見落としでルートを外してしまったことが分かった

こんな所にトラップがあったとは、山は侮れないですね

 

15:40

こけ苔の森を通過して

確りとした道形のルートを下る

 

(この上部が水場の金冷泉かも)

 

 

布引滝の分岐点を通過すれば遊歩道の下り

標高が下がったせいかガスが漂い

今朝とは違う幻想的な雰囲気だ

 

 

 

16:15

林道終点に降り立つ

ここのベンチで一休みして

長い林道を下って行く

 

 

 

18:03

ゲート前の駐車場に到着

 

今回は久しぶりの登山

前回から2ヵ月のブランク

流石に今日は疲れましたね

目標としていた女峰山でしたが

最悪、富士見峠まで行ければと思っていたので

今回は目標達成と思っています

 

今夏はテン泊で北アルプスも行きたいし

もう少し体力を付けねばですね