秩父鉄道の武州日野駅から南に入り花ハス園奥に車を置く。
熊倉山へ登るにはもっと先まで車で入れるが今回は野草の花も見たいので
ここから歩く事にする。
舗装された切通しを超えると如意観音堂の前に出る、天井画の写真が展示してある
秩父地方はこういった文化財が沢山残っているところだ。
寺沢の集落の道を南に向かう、野草のありそうな所を見ながら行くが在るのは枯れ草や落ち葉ばかり、民家の庭先のウメの蕾はやっと膨らみだしたばかりのようで一輪の花も無い。今回は春一番に咲くセツブンソウが目的、石灰岩地特有の植物で国の絶滅危惧種にも指定されているものだ。
集落の一番奥まった所に水車小屋がある、S社の登山地図ではここにPマークがある、花が沢山あれば楽しい歩きだったろうが今回は無駄な歩きだったようだ。
案内板どうり林道に入る、木立の中の舗装されたつづらおれで花などは期待できそうもない。
日野コース登山口の看板前に出るが登山道崩壊で進入禁止に、替ってう回路が書いてあるが判りずらい。とにかく林道を進むことにする。
林道の分岐点に案内板、左が日野コース登山口とある、傍らにタチツボスミレが数輪咲いている、今日はじめての花だ。
案内どうり登山道に入る、日の当らないヒノキの植林地を過ぎ雑木林でカタクリを見つけるが、まだ冬眠中なのか地面に張り付くように葉があるだけで花芽も出ていない。
沢音だけが聞こえる静かな登りだ、もう少し暖かくなればミソサザイやオオルリの声も聞かれるのだがそれはまだのようだ。
三俣から沢を離れヒノキ林をジグザグに登りだす。
カチカチに凍った残雪の道になりアイゼンを着ける。
ザクザクどアイゼンをきかせ登ると小幡尾根に出る、城山コースとの合流点だ。
北側に視界が開ける、雲をまとった両神山が間近に見える。
凍りついた道を登り切ると1426mの熊倉山山頂だ。
山頂は樹林に囲まれているが西側が少し見渡せる、三峰の尾根の向こうに和名倉山、その向こうには雲に隠れた奥秩父主稜線が見える。
サンドイッチとスープパスタの昼食を摂る、気温0.5℃時折り雲が流れてきて粉雪を落として行くが概ね晴れベースだ。
じっとしていると体が冷えるので下山にかかる、下山は小幡尾根を下る城山コースを採る、以外にも痩せ尾根が現れるが慎重に通過する。
岩尾根の乗り越し手前でアイゼンをとる。
急な下りで膝に負担が掛る、久々の登山でトレーニング不足を感じる。
傾斜がゆるみ林道に出る、舗装路の退屈な歩きで寺沢の集落へ向かう。
どろだらけでザックの外に下げていたアイゼンを小川で洗う。
石垣の間から短い茎に5~6輪の花をつけたミヤマキケマンが顔を出している。
畑の土手にはまだロゼット状の葉に張り付くように一輪のタンポポが咲いている。
道と小川の間の草地に三輪のアズマイチゲを見つける、もう日が傾きだしているので花は閉じている、ファインダー越しに覗いていると背後から声をかけられる。
立ち上がり振り向くとオジサンが指を差し「あの木の向こうにセツブンソウとアズマイチゲが・・・その電柱の向こうにキバナアマナとカタクリが咲いてますよ・・・」と言って傍らの車に乗って走り去った。
あまりの事で驚いてしまった、正確に花の名前を言い咲いてる場所まで把握してるとは?あのオッサン何者?野草マニアか愛好家と思いながら言われた木の所へ行くと細かな切れ込みの葉に淡く白い花を着けたセツブンソウの群落があった。
これまでずっと見たいと思いながらも見られなかったセツブンソウにやっと出会えたのだ、想いを寄せた女性にやっと会えたような気分で暫く見入ってしまった。
早くに咲いた個体は終わりに近付いてるのか疲れ気味だ、良さそうな個体を択んでカメラに収める。
電柱の所にも行ってみる。
言われたとうりキバナアマナとカタクリが咲いていた。
キバナアマナは虫に食われてしまったのか花一輪をのこして食べられてしまっていた、カタクリはゴージャスにこちらを向いて咲いていた。
カタクリ
目的の花を見られて満足して歩きだすと案内板の所に「春野草まつり・・・4月7日~・・」のポスターが、先ほどのオッサンの正体はこれか!まつりの関係者で自生地の下見で来ていたのだろうと納得する。
今回は念願の花を見られ満足の一日でした。