「今まさに困っていることはないので」 | マイペースな日々

マイペースな日々

『中学生 いじめと学級崩壊』というタイトルを変更しました。
息子は2024年に大学生になりました。

あおいです。
 
息子を取り巻く現状を深く思索するために、彼の幼いころの話を書いています。
息子は発達障害の診断をいただきませんでしたので、グレーゾーンに属しているであろう子です。
 
そろそろ三歳になろうかというある日、保育園の先生に夫婦そろって呼び出されました。
やはり保育士の経験を盾にした話で、あまりにマイペースな息子は療育を受けるべきだという内容でした。

夫は「今まさに困っていることはないので、療育は考えていません」と告げました。
園長先生は「このままだと確実にイジメられますよ」と、これまた強烈な一言を発したわけですが、夫は深く頷きながらも拒否しました。
 
この時の保育園側の言い分は、確かに未来を予測していました。

私は息子を育てていく中で、自分より能力が劣る人間(主観)を徹底的にいじるタイプが世の中に存在することを知りました。
昔はいなかった、というわけではありません。
私の子どもの頃の環境ならば、いじりキャラが翌週からいじられキャラへと変わることが頻繁にありました。
ただ、息子の周辺では一度つけられたキャラ属性が変化することがないので、徹底的にいじられてしまう環境が出来てしまうのです。
 
療育そのものは拒否したものの、夫一族全員と顔なじみの精神科の先生にも相談してみました。
私たちの家族には統合失調症を患う者がいて、その者の治療のために同居していたり近隣に住んでいたりする一族全員が精神科の先生と懇意にしていたのです。
 
「まだ赤ちゃんみたいなもんだしなぁ」と先生は肩をすくめていいました。
「保育士さんの望むような集団行動ができないだけで、今まさに困っていることなんてないでしょ?」
 
子育てで困っていることはありませんでした。
ただ、多分、私は「困る」レベルが人とは大きく違っていたかもしれない。
生きていてくれるだけで良かったので、癇癪も夜泣きもあったけれど気にはなりませんでした。
徒歩30秒ほどの圏内に息子を預けられる親族も多数おり、私の友人も二日と空けずに息子の世話をしてくれました。
とにかく子育てに関する私の不満はほとんどなくて、恵まれていたとしか言いようがありません。
そういうことが良かったのか、どうなのか。
 
「特に息子くんの場合は、育児書なんて見てもあてにならないし、イジメられるときはイジメられるんだよ、どんな子でも」
先生の言葉に意を強くして、困ったらまた相談すればいいと思いなおしました。
 
そして翌年、保育園から幼稚園へ転園します。
新しい幼稚園の先生は、保育士さんよりも数段、厳しい方々が揃っていました。