「安かろう悪かろう」で本当に良いですか? 自称「田植機のプロ」より。~農家&農機具屋必読~ | 農業と機械の農機ナビ ~若き農業経営者への基礎知識~

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メンテナンスの知識を得るだけで、農業の年間経費は大幅削減可能だ! プロの農業機械整備士、農機ナビ管理人の葵が教えるニッチでマニアックなスキルと農業機械の世界をナビゲート。

最近の農業&農業機械の様々な情報にも簡単にアクセスできるようになりましたね。

農機具屋よりも農機具に詳しい農家さんも沢山いらっしゃいますので、私たち機械具屋も日々勉強です。

その中で自分はどういう立ち位置で仕事をしていくかをいつも考えています。

 

農家さん同士でも情報交換が盛んですので、機械の状態も、経費も、使用状況も、

昔とは違ってずいぶん明確になっていると思います。

ですから、修理や整備に関するおおよその費用対効果も把握できているのではないでしょうか。

 

以前、年配の農家さんの田植機を整備し、完成直後に金額を伝えに行きました。

お客さんは自分の予想を超えた金額を聞いてヒートアップ、値切りに入ります。

私はその金額になる理由を説明しようとするのですが彼は聞く気さえありません。

私も百歩譲って交換部品を元に戻す(値下げ)提案をするのですが理解する気もありません。

 

申し訳ないのですがこの状況、今後は整備に入れないでください。

現状すぐに破損しないが、近い将来に不具合を起こす部分を修理することを整備といいます。

それと、農家さんは整備の相場を把握してください。お互いの認識がずれるとトラブルになりますね。

残念ながらその後、私はその農家とは縁を切りました。

 

人は辛いことがあっても意外とすぐに忘れてしまいます。

風邪をひいて辛かったことも、飲み過ぎて二日酔いが酷かったことも、

田植えの繁忙期に何度も不具合を起こして、何度も機械屋を呼んで仕事にならなかったことも。

 

田植えの辛さを忘れないでください。

良い結果を得るためにはそれ相応のお金が絶対に必要です。

整備した機械に完全な保証はありませんが、最善を尽くして対応をしています。

でも、整備したとしても新車にはなりません。なるべく新車に近づけるように努力しています。

思いもよらない場所が破損する可能性があります。肌感覚で言えば比較的よく起こります。

 

農家さんは予想より多く整備代が必要だとしても、繁忙期のスムーズな作業を優先すると思います。

ですので私の整備は高めですが、繁忙期の不具合を最低限にする努力と仕事をしています。

何故その金額になったのか?是非説明を聞いてください。

説明できなければそれは機械屋の責任です。当然ですが必要な場所を整備しています。

 

私は自信をもって高額な修理と整備をしていますので今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

念を押して申し上げますが、思いもよらない場所が破損する可能性がありますので、その時はご了承ください。

 

 

追伸

機械屋さんへ。

機械の軽微な現地点検依頼があっても、繁忙期に農家さんが苦しむことが予想できる場合があります。

農家さんが機械の更新を考えている場合は別ですが、アヤシイ機械は工場でしっかり直しましょう。

安い金額で点検出来たとしても、結果的にその後、作業を止めて有償で手直しをすることになります。

農家さんの要望よりも、先手先手で機械屋主導の良いアドバイスをしましょう。