障害福祉サービス等報酬改定のまとめ(その7) | あおいさんの部屋

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ちくわの自販機。又村です。

割と自販機マニアな又村としては、それなりに珍しい自販機も知っていたつもりでしたが、そうですか、ちくわですか。設置場所が淡路島っていうのも、マニア心をそそりますな。

・・という、取扱品目としてはそんなに驚くまでもないネタはさておき、今日も、障害福祉サービス等の報酬改定(平成30年度報酬改定)で気になった点をお送りします。

【平成30年度障害福祉サービス等報酬改定の概要】
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000193399.html

しばらくは、新設されたサービスに注目したいと思います。今日は、「居宅訪問型児童発達支援」「保育所等訪問支援」を取り上げます。

居宅訪問型児童発達支援(訪問児発)と保育所等訪問支援(保育所訪問)は、いずれも支援者が子どもがいる場所(自宅や保育所、幼稚園や学童保育など)へ出向いて個別の発達支援、療育支援を提供するサービスです。
訪問児発はこの4月から新設されたサービスで、常時の医療的ケアが必要など外出が難しい子どもの自宅へ訪問します。保育所訪問は以前からあるサービスですが、この4月から派遣先が拡大され、児童養護施設や乳児院(虐待を受けた子どもが入所する施設)にも派遣可能となります。

この2つは、いずれも支援者が訪問するという特性が共通していることから、報酬上の位置付けも概ね一致しています。一致する部分の概要は以下のとおりです。(以下、基本的に1人1日の報酬)

居宅訪問型児童発達支援給付費・保育所等訪問支援給付費 988単位
専門職員(※)に対する加算 679単位
※ 専門職員とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、保育士、 看護職員、児童指導員、児童発達支援管理責任者、心理指導担当職員で障害児支援経験5年以上の人、あるいは障害児支援経験10年以上の人

ここに、各種の加算が設定されます。
訪問児発の場合は

通所施設移行支援加算(訪問児発から通所型サービスへ移行するための支援をした場合、1回のみ算定) 500単位

保育所訪問の場合は

初回加算(児童発達支援管理責任者が、初回又は初回月に訪問先との事前調整やアセスメントに同行した場合に1回のみ算定) 200単位

家庭連携加算(利用児童の自宅を訪問して子どもや家族への相談援助を行った場合に月2回まで算定) 1時間未満 187単位 1時間以上 280単位

同一日減算の見直し(これまでは同一日に複数児童を支援すると減算(93%算定)だったところ、同一日に同一場所で複数児童を支援した場合に減算へ変更)

このように、訪問児発も保育所訪問も専門職加算が充実していることから、専門職が訪問した場合には十分に事業ベースに乗るようになったと思われます。
ただ、いずれも「職員が外に出る」という意味では従来の障がい児支援とは大きく異なることもあり(従来の障がい児支援は子どもが通ってくるサービスばかりでした)先行している保育所訪問でさえ、まだまだ需要に供給が追い付いていない状況です。
さらに、訪問児発は訪問先が自宅ですから本人や家族との関係性だけで完結しますが、保育所訪問は出先の施設(保育所や幼稚園など)との関係性を構築しなければ支援効果が発揮されません。その意味で、今回の報酬改定を機に保育所訪問へ参入しようと考えている事業所があるとすれば、出先の施設との関係性を構築するノウハウを研修するなどの準備が重要になると思われます。(そうした研修を都道府県・市町村単位で開催できるとさらに良い)

また、保育所訪問で拡大される派遣先は、虐待を受けて入所している子どもがいる施設です。当然ながら、単に個別の発達支援、療育支援を提供するだけでなく、子どもへの接し方などについても十分に気を配る必要があるでしょう。実務的には、措置で利用している養護施設へ、どうやって保育所訪問を派遣するのかも気になります。「やむを得ない措置」を発動することになるとは思いますが、それにしても利用者負担が発生する可能性もあるため、柔軟な運用が求められます。

これで居宅訪問型児童発達支援、保育所等訪問支援の整理は終わります。次回は相談支援(計画相談)に進みます。