総合支援法3年後の見直し議論のまとめ(その17) | あおいさんの部屋

あおいさんの部屋

matamura aoi blog

かき氷そば。又村です。

ポテトフライそばで有名(?)な阪急そば様が、今度は「かき氷そば」なるものを投入されたようで、予想どおりそばつゆでかき氷を溶かしながら食べるんだとか。

・・という、かなり本気で阪急沿線が羨ましいネタはさておき、今回も引き続き、障害者部会で議論された総合支援法3年後見直し議論を取り上げていきたいと思います。

【障害者部会報告書はこちらから】
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000107941.html

【障害者総合福祉法制定に向けた議論テーマ】
※ 今後は、原則としてこの順番で取り上げていきます

7 高齢の障害者に対する支援の在り方について
8 障害支援区分の認定を含めた支給決定の在り方について
9 障害児支援について
10 その他の障害福祉サービスの在り方等について

(財務省が示した課題等はこちらから)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000091249.pdf
※ PDFファイルとなります

前回までで「5 障害者の意思決定支援・成年後見制度の利用促進の在り方について」が終わりましたので、「6 手話通訳等を行う者の派遣その他の聴覚、言語機能、音声機能その他の障害のため意思疎通を図ることに支障がある障害者等に対する支援の在り方について」は飛ばさせていただき、今回からは、「7 高齢の障害者に対する支援の在り方について」を取り上げたいと思います。まず、報告書の中から「議論項目」と「報告書の報告書に示されている方向性」をご紹介いたします。

(具体的な議論項目は・・)
○ 障害福祉サービスの利用者が介護保険サービスへ移行する際の利用者負担について、どう考えるか。
 ・ 低所得者の負担への配慮
 ・ 一般の高齢者等との公平性
○ 介護保険給付対象者の国庫負担基準額について、どう考えるか。
 ・ 相当する介護保険の訪問系サービスとの関係
 ・ 財政影響
 ・ 国庫負担基準全体の在り方
○ 介護保険サービス事業所において、65歳以降の障害者が円滑に適切な支援が受けられるようにするため、どのような対応が考えられるか。
 ・ ケアの質の低下が生じないよう、介護保険サービス及び障害福祉サービスが適切に提供されるための両制度の適切な利用を橋渡しする仕組み
○ 65歳前までに自立支援給付を受けてこなかった者が65歳以降に自立支援給付を受けることについてどう考えるか。
 ・ 介護保険にはない障害福祉独自サービス(同行援護、行動援護等)の取扱い
 ・ 65歳前より障害を有していたが、65歳まで手帳等をとらずにいた障害者や、65歳以降に障害を有するに至った者の取扱い
○  障害者総合支援法第7条における介護保険優先原則について、どう考えるか。
 ・ 障害を持って高齢期に至った高齢障害者の特性
 ・ ノーマライゼーションや一般の高齢者等との公平性
 ・ 社会保険制度である介護保険制度と公費負担による障害福祉制度の関係
○ 心身機能が低下した高齢障害者について、障害福祉サービス事業所で十分なケアが行えなくなっていることについて、どのような対応が考えられるか。
 ・ 予防の観点も含めた早期の心身機能の低下に対応するケアマネジメント
 ・ 障害福祉サービス事業所における、介護技術・知識の向上、マンパワーの充足、医療との連携による医療的ケアの充実、バリアフリー対応等の設備上の課題への対応
 ・ 心身機能の低下した高齢障害者に対する障害者支援施設等やグループホームの位置づけ
 ・ 介護保険事業者等との連携や地域生活支援拠点の活用や在り方
 ・ グループホームや障害者支援施設等の入所者等に対する日中支援活動の在り方
○ いわゆる「親亡き後」と言われるような、支援者の高齢化や死亡などの支援機能の喪失後もできるだけ地域において安心して日常生活を送るために、どのような対応が考えられるか。
 ・ 支援機能の喪失前からの「親亡き後」の準備
 ・ 支援者の支援機能の喪失後を見据えた、中長期的なケアマネジメント
 ・ 支援者の支援機能の喪失後の自立のため、障害者自身や親をはじめとする支援者がそれぞれ担うべき役割とそれを支援する体制の構築

(障害者部会の報告書として示されている方向性は・・)
(基本的な考え方)
○ 日本の社会保障は、自助を基本としつつ、共助が自助を支え、自助・共助で対応できない場合に社会福祉等の公助が補完する仕組みを基本としており、現行の介護保険優先原則を維持することは一定の合理性がある
○ 障害福祉制度と介護保険制度との関係や長期的な財源確保の方策を含めた今後の在り方を見据えた議論を行うべき
○ 障害福祉制度と介護保険制度は制度の趣旨・目的等が異なるとの意見や両制度の関係は共生社会の実現の観点から検討すべきとの意見もあることに留意する必要がある

(障害福祉制度と介護保険制度の連携)
○ たとえば生活介護を利用してきた障害者が、65歳になって介護保険のデイサービスを利用する場合も、それまで支援し続けてきた障害福祉サービス事業所を引き続き利用できるよう、その事業所が介護保険事業所になりやすくする等の見直しを行うべき
○ 協議会(障害者総合支援法)と地域ケア会議及び基幹相談支援センターと地域包括支援センターとの連携の推進
○ 地域の実情に応じた窓口の一元化等や弾力的な運用等による連携の好事例の収集と普及等を通じて、全国的に連携の推進を図る
○ 障害福祉計画と介護保険事業(支援)計画が一層調和のとれたものとなる方策を検討
○ 相談支援専門員と介護支援専門員の連携を推進するため、両者の連携が相談支援事業及び居宅介護支援事業が行うべき業務に含まれる旨を明確にする
○ 相談支援専門員のモニタリングの頻度について、モニタリングの実態を踏まえつつ、見直しを行うべき
○ 相談支援専門員と介護支援専門員(ケアマネジャー)の両方の資格を有する者の拡大のための方策を講じるべき
○ 介護保険サービスの利用に伴う利用者負担については、一般高齢者との公平性や介護保険制度の利用者負担の在り方にも関わることに留意しつつ、さらに検討すべき
○ 障害者施設に入所していた障害者が退所して、介護保険施設等に入所する場合の住所地特例の適用については、見直すべき
○ 送り出し側の障害福祉サービス事業所と受け入れ側の介護保険施設等の連携に向けた方策や受け入れに当たっての適切な支援の方策を講じるべき
○ 65歳以上になって初めて障害を有する状態になった場合の障害福祉サービスの利用については、現行の介護保険優先原則の下で適切に運用される必要がある

(障害者の高齢化に伴う心身機能の低下等への対応)
○ 高齢化に伴い心身機能が低下した障害者に対応するための技術・知識を高めるため、障害福祉サービス事業所に対する研修に心身機能の低下した障害者支援の手法などを位置付けるべき
○ グループホームにおいて、高齢化に伴い重度化した障害者に対応することができる体制を備えた支援や日中活動を提供するサービスを位置付け、適切に評価を行うべき
○ 地域で生活する高齢障害者等に対し、地域生活支援拠点に関するモデル事業の成果も踏まえつつ、拠点の整備を推進すべき
○ 「親亡き後」に向けて、適切な助言を行い、親が持つ支援機能を補完し、障害福祉サービス事業者、成年後見人、自治体、当事者・家族など様々な関係者で当該障害者を支えるためのチームづくりを主導するため、主任相談支援専門員(仮称)を創設すべき


以上が、「障害者の意思決定支援・成年後見制度の利用促進の在り方について」で取り上げられた「議論項目」と「報告書に示されている方向性」となります。次回は、このテーマのまとめと将来予測をしたいと思います。