総合福祉法骨格提言の整理(その2) | あおいさんの部屋

あおいさんの部屋

matamura aoi blog

都内の地下鉄乗り換えは軽い運動。又村です。

最近、都内を地下鉄で移動する機会が増えたのですが、乗り換えの移動距離がなかなかのボリューム。みんな良く歩くよなあ。


・・という「プチ田舎者」を露呈するネタはさておき、今回からは総合福祉法骨格提言の内容に入っていきたいと思います。

【骨格提言の全体はこちらから】
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/sougoufukusi/index.html

※ 画面の上から4番目のリンク・「設置根拠・構成員名簿」のすぐ上に「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言[1,973KB] 」があります

前回もお知らせしたとおり、骨格提言は120ページに及ぶ大作で全分野を紹介することは難しいですし、分野ごとの方向性に対しても様々な考え方がありますので、あくまでも

・実際サービスを使う人に関係が深い分野
・比較的新しい仕組みが説明できそうな分野

を中心に、なるべく分かりやすいスタイルでご紹介したいと思います。

・・という前提で、今回は法律の名称や目的、理念や介護保険制度との関係などについて触れていきます。

【法律の名称】
これまで、新法の名称についてはいろいろな案が浮かんでは消えましたが、結局のところ当初案に近い「障害者総合福祉法」という名称が提案されました。
ちなみに、法律の名称について議論してきた作業チームにおいては「障害者の社会生活の支援を権利とし総合的に保障する法律」という案が示されていまましたが、骨格提言には採用されませんでした。

【法律の目的、理念】
法律の理念や目的はとても大切な部分なのですが、一方で抽象的になりやすいため取りつきにくいことも事実です。なるべく要約してポイントを抜き出してみると・・

★ どこで誰と生活するかについての選択の機会が保障され、あらゆる分野の活動に参加する機会が保障される
★ 障がいのない人と等しく基本的人権を享有する個人として尊重され、他の者との平等が保障される
★ 障がいゆえに命の危険にさらされない権利を有し、そのための支援を受ける権利が保障される
★ 必要とする支援を受けながら、意思(自己)決定を行う権利が保障される
★ 自らの意思に基づきどこで誰と住むかを決める権利、どのように暮らしていくかを決める権利、特定の様式での生活を強制されない権利を有し、そのための支援を受ける権利が保障される
★ 自ら選択する言語(手話など非音声言語を含む)及びコミュニケーション手段を使用して、市民として平等に生活を営む権利を有し、そのための情報・コミュニケーション支援を受ける権利が保障される
★ 自らの意思で移動する権利を有し、そのための外出介助、ガイドヘルパー等の支援を受ける権利が保障される
★ 障がいのある人の権利は、障がいの種類、軽重、年齢などに関わりなく保障される
★ 国や地方公共団体は、障がいに基づく社会的不利益を解消する責務を負い、障がいのある人の自立及び社会参加に必要な支援のための施策を定め、その施策を総合的かつ計画的に実施する義務を負う
★ 障がいのある人を「保護の対象」から「権利の主体」へ転換する
★ 障がい概念のあり方については、医学モデルから社会モデルへ転換する
★ 総合福祉法により、全ての国民が、障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現する

・・といった感じになります。

【介護保険制度との関係】
現在の法律では、介護保険制度が適用される人については、障害福祉サービスよりも介護保険サービスを優先して適用するルールとなっています。そのため、それまで障害福祉サービスを使っていた人が介護保険の適用となることで、使えるサービスの内容や分量が変化してしまう可能性が指摘されてきました。また、そもそも介護保険サービスを利用している人は、多くの場合(ほとんどの場合)障がいのある人でもあり、障害福祉サービスと介護保険サービスを分けずに統合した方が良い、という考え方も一定の説得力があります。
今回の骨格提言では、総合福祉法と介護保険制度は別の制度であるから、それぞれ干渉するものではない、という整理をしました。ただし、従来から障害福祉サービスを利用している場合は、介護保険対象年齢になった後でも、従来から受けていた支援を原則として継続して受けることができる仕組みを提起しています。


というわけで、こんな感じで少しずつ進めていきたいと思います。では。