内湖の傍の珊瑚樹の蕾
今月の俳句新聞子規新報の特集記事は、和田悟朗の俳句です。今号も編集長の小西昭夫氏抄出の和田悟朗の俳句30句から、43名がそれぞれ好きな俳句を自由に選び鑑賞しました。読者によって全く異なる感じ方、或は似たような捉え方など、様々な鑑賞に出会える面白い企画です。俳句は、作者のみならず読者によって育つのでしょう。
和田悟朗の一句の鑑賞のページから
人間であること久し月見草 和田悟朗
月見草は、晩夏の季語で夕方開き夜明けにはしぼむ儚い花です。長らく人間として生きている私達も、次は何に生まれ変わるかもしれず、言わば、月見草と同じように儚い存在です。しかし、また、晩夏の一夜を咲き切る月見草のように、限られた一生を精一杯生き切る存在なのだとも言えるでしょう。(川島由紀子)
新報俳壇 今月の一句と今月の秀句から
磯巾着ひらく弱味をみせながら 由紀子
磯巾着は柔らかい花のように開き、且つ弱弱しそうに海中の岩にへばりつき揺らいでいる。小魚たちはそこに敵意を感じないのだ。これも生きる知恵か。(東英幸)
「弱味を見せながらひらく」と言われると、確かに!一理あると思ってしまうが、磯巾着の触手には毒がある。弱味を見せて誘っておいて仕留めるという高度な戦術か?中々奥深い。(えのもとゆみ)
コメンテーターの東英幸さん、えのもとゆみさん、ありがとうございました。