庭の梅が咲き始める朝、まず一羽で偵察にやって来るヒヨドリです。一旦いなくなったと思ったら、今度はカップルでやってきて、梅の枝をゆさゆさ揺らし口の周りに黄色い花粉をいっぱいつけて仲良く蜜を吸っています。初めに偵察にやってくるのは、彼女でしょうか、それとも彼でしょうか。ヒヨドリ達が去ると、今度は目白のカップル達。梅の庭は、賑やかです。

 人はいさ心も知らずふるさとは花ぞ昔の香ににほひける  紀貫之 古今和歌集

紀貫之は、もしかしたら、梅にやってくる鳥のカップルを見て、「人の心はどうだろうか。このふるさとの梅の花は昔の香のままに咲いているのに。」と思ったのかもしれません。

 私は、「新・黎明俳壇 第10号」の近江の言葉たち②に、坂本ケーブルの裳立山からの琵琶湖の眺めが好きで、そこに庵を編んで暮らし、今もその墓のある紀貫之と歳時記について書いています。