「子規新報」(通巻219号)が送られてきました。これは、愛媛県松山市の小西昭夫さんが編集長の月刊俳句新聞です。表紙は、坪内稔典氏のエッセイとおいしそうなあんパンの写真。

 今号の特集は、藤後左右の俳句です。明治四十一年鹿児島生まれの藤後左右は、昭和三年「京大三高俳句会」に入会。「ホトトギス」に投句開始。昭和五年、「ホトトギス」巻頭。「京大俳句」を平畑静塔、井上白文地、中村三山、長谷川素逝、野平椎霞らと創刊。第一句集『熊襲ソング』(昭和43年)の序文を平畑静塔が書いています。

今号では昭和4年から22年までの俳句30句(小西昭夫氏抄出)が挙げられ、その中から44名が、各々好きな句を選んで鑑賞しています。

 

デツキにごろ寝のからだ全体に星  藤後左右

 

破調でぶっきらぼうな語り口から、大海原に浮かぶ大型船の甲板に無造作に寝転がっている「からだ」が思い浮かぶ。大きく深い海の闇の中の小さな孤独な「からだ」。最後にポンと置かれた「星」の光が、その寂しいからだ全体を温かく包むように照らす。「星」の光は、明るい未来への希望の光なのだろう。(川島由紀子)

 

新報俳壇 今月の一句より

     粉チーズぱぱぱっと振る山眠る  川島由紀子