昨日は、びわこ句会終了後、近くの成安造形大学の展覧会 Error of Realityに出かけました。私たちの現実世界を捉える感性や認識に少しだけエラーを起こさせるような、現実と虚構の間を行き来する、ユニークでユーモアのある5組の作品群。
あれ、何だろうと不思議な気持ちのまま、再開したカフェで、琵琶湖を眺めながらブルーベリーのケーキやクッキーでティータイムを楽しみました。
今月の句会作品から。
〇パッツンと前髪アジア菊の風 敦子
勢いの良いパッツンの言葉から、何か思い切った決心が思われ、その決心を肯定するようにアジア菊の風が吹いる。
〇笑栗の転がる明日誕生日 ひさし
いくつになっても、「笑栗の転がる明日」から明るい未来が感じられる誕生日。
〇いびつなり夫の好物零余子めし 裕子
夫も零余子も、いびつかもしれないが、そのいびつさへの愛が感じられる。
〇菊日和はしゃぐ子どもら虎を見に 禎
雅な菊と虎を見に行く子どもの取り合わせが面白い。
〇くちばしの抜けぬ啄木鳥宙ぶらり 雅之
マンガのように、可笑しく切ない啄木鳥はまるで私自身のよう。
〇菊日和どこからともなくカレーの香 亮子
雅な菊と俗なカレーとの取り合わせが新鮮。
〇秋の夜半青石のこと語ろうか 和彦
秋の夜半には青石の話を聞いてみたい。
〇刺すところ見てみたきもの鵙の贄 せり
鵙の贄に思いを馳せる。
〇すり鉢で自然薯あたる耳澄ます 登茂子
すり鉢のあの豊かな音に注目している。
〇峡の村田を縁取りて曼珠沙華 寛子
映像が、はっきりくっきり浮かんでくる。
〇三角のカマキリの顔孫の顔 寿子
カマキリの顔と子供の顔を同列に並べたところが、愉しい。
〇ベビーシューズ蜻蛉の群れを指さして 琴美
歩き始めた幼子と言わず、ベビーシューズと映像化したところが、秀逸。
〇日曜の公園掃いて秋うらら 千香子
気持ちの良い日曜日の気分。
〇雨戸よりひょいと頭へ家守来る 英子
人間好きの家守でしょうか。