雲の流れる空の下、稲の花が咲き始めました。

 新・黎明俳壇 第8号が届きました。今号から、私のエッセイ「近江の言葉たち」が始まりました。東京生まれ兵庫県芦屋市育ちの私は、三十歳を過ぎた頃、家族と共に琵琶湖の湖西に移り住みました。京都からトンネルを抜けて、車の窓からどこまでも広がる青い琵琶湖が見えてきたときは、はるばる来てしまったと、さすらい人の切ない気分になりました。しかし、そんな旅人気分の私だから、日常生活を送りながらも、近江で出会う言葉たちが新鮮に感じられたのかもしれません。今回は、そんな言葉たちの中から、「琵琶湖の岬の突端の木の灯台と芭蕉のおしゃれ心」を取り上げました。

 黎明俳壇入選作品のページから、びわこ句会会員の作品です。

シクラメン寄せ植え終えて誕生日 香織

桃色の湯呑は二つ新茶汲む  

 シクラメンを寄せ植えして迎える誕生日は、生きる喜びが溢れている。桃色の湯呑で新茶を飲む二人は、恋人あるいは夫婦でしょうか。