青梅雨の湖をまっすぐ木の灯台 由紀子(『スモークツリー』)
昨日のリアル句会の後、琵琶湖の岬の突端にある出島灯台に行きました。
今回の兼題は、ビール。夏の身近な飲み物だけに、様々な人間模様の面白い句に出会えました。
〇サルスベリ前線今朝がたこの町へ 敦子
「サルスベリ前線」という表現が新鮮。この表現が広く使われるようになれば、季節の進み具合のひとつの指標になるかもしれません。俳句を作り、鑑賞することは、新鮮な言葉との出会いの楽しさなのでしょう。
〇缶ビール力を抜いて投げ渡す 亮子
「力を抜いて」というところに、二人の関係性が表れている。
〇ジャンキーなあてと心に黒ビール 登茂子
ジャンキーな「あて」のみならず、心もジャンキーだという。そんなあてと心には黒ビールがよく似合う。すっきり元気になれそうだ。
〇独酌のビールの泡の小言めき 和彦
手酌のおじさんは大概機嫌悪そう。
〇烏龍茶しゃべってはしゃいでビアガーデン 琴美
ビアガーデンで、ビールではなく烏龍茶を飲んで楽しんでいるところに、おかしみがある。
〇庭仕事終えてプシュと缶ビール 寛子
プシュという音が、ビールのおいしさを伝えている。
〇ビールに枝豆やっぱり紙の本 裕子
ビールには枝豆がおいしいように、本は紙で読みたいという。
〇唇を奪って滝が滝となる ひさし
滝にエロスを感じている。
〇向日葵やまち歩きマップありますか 雅之
向日葵が案内してくれそう。
〇宙へ明日へ屈伸前進尺取よ せり
尺取虫が、宙へ明日へと屈伸運動しているなんて、愉快。
〇しあわせを口いっぱいにトウモロコシ 禎
おいしそうなとうもろこしだ。
〇どこまでも馬鈴薯の花と青い空 千香子
気持ちの良い景色の広がり。
〇おとうさあんたった一人の豆ごはん 英子
「あ」が効いている。
〇夕凪や海面破り魚跳ね 寿子
海面から跳ねる魚は、絵画のよう。
〇うす青のグラスにゆららアイスティー 花凜
お気に入りのグラスでしょうか。
〇縁先で西瓜の種の飛ばしっこ 知子
みんなで食べる西瓜はおいしそう。
〇梅雨明けのお昼は卵かけご飯 正明
梅雨明けの気持ちよさと卵かけご飯のおいしさが伝わってくる。