内湖のそばの昼咲き月見草

 びわこ句会会員の重光寛子さんから、小説の同人誌「グループいかなご第26号」が届きました。神戸とパリを行き来しながら、長年にわたり表紙絵を描かれていた画家の松野真理さんが亡くなられた記事があり、月日の流れをしみじみと感じました。

 表紙絵は明石海峡大橋。そして、早春の頃、魚屋の店先に並ぶ「いかなご」です。私も、明石に住んでいた頃は、2~3㎏いかなごを買って釘煮をつくりました。毎日大きくなるいかなごなので、ちょっと魚屋へ行く日が遅くなると、すぐに大きくなってしまい、味も変わってしまったものでした。

 今から三十年くらい前のある日、寛子さんから電話がありました。「小説を書きたいと思うんやけど、今は仕事もあるし子供たちも小さいから、60歳になって定年退職してからのほうが、いいやろか。でも、書きたいテーマはいくつかあるねん。」

 「そんな情熱があるなら、すぐに始めたほうがいいよ。読ませてほしいから。」

そんなやり取りの後、小説の同人誌に参加した寛子さんから年に二回同人誌が

送られて来るようになりました。いくつかの同人誌を経て、今年「グループいかなご第26号」発行。重光寛子さんの、子犬を飼い始めた子供たちの成長を描いた「まるちゃん」(第48回明石文芸祭入賞)、佐藤水楊さんの、占いアプリを通じての現代の女性たちの気持ちを描いた「占いアプリ・LOVE」(第72回滋賀県文学祭 特選5位)などが紹介されています。

 働きながら子育てしながら、こつこつ原稿用紙のマス目を埋めて、書き続けて生きてきた寛子さんの豊かさを思います。

ご恵贈、ありがとうございます。