次々に咲く庭の酔芙蓉の花たち。

 

  銀をたくさん持っている者は仕合わせだろう。

 麦をたくさん持っている者は嬉しいだろう。

 だが、何も持っていない者は眠れるだろう。

 

 (中略)人類の科学技術や文明生活の便宜がいかに驚異的な進歩をとげたところで、人間自身はむかしから今にいたるまでえんえんと続く≪人間喜劇≫の幕間狂言を、楽しげに、あるいは哀れに、演じつづけている点でかわらないのではないか、という思いに襲われる。(出典:大岡 信著『詩への架橋』)

 

 最初の三行のポエムは、5千年も昔に人類最古の文明のひとつ、メソポタミア文明が誕生した南部地域の都市国家、シュメールの人々が完成したという楔形文字で書かれていたと言われています。シュメールそしてその後のバビロニアの人々のもっていた諺と言われる、このユーモアに富んだ短いポエムは、ふっとおかしくもあり、5千年経っても変わらない人々の心を思いました。