これは、同志社女子大学表象文化部の「クリエイティブ・ライティング」の講義受講者の1年間の作品集です。
ひとすじの気まぐれ乙女や春の雲 相曽 京子
表紙の絵は、春夏秋冬の俳句をモチーフにした原田ももさんの作品です。
クローバー指に結んだ初恋よ 山口未菜美
人魚姫サイダー片手に信号を待つ 山口未菜美
オノマトペの楽しい俳句から。
じゅくじゅくと傷んだバナナと靴擦れと 波田野香乃
また、俳句とエッセイのみならず、桑原武夫「第二芸術論」を読むと題して、賛成反対に分れての自由な議論も、それぞれの俳句に対する思いが分かり楽しめました。
嬉しいニュースもありました。編集責任者の佐野瑞季さんは、昨年、「愛憎紙一重」で第17回鬼貫青春俳句大賞を受賞されました。
てのひらに銀河ショットグラスの縁に塩 佐野瑞季
躁鬱の瞳にひとひら冬の蝶
彼女は、「俳句の視点を得たことで、少しずつながら対象物をより多面的に見つめ、使い古された借り物の言葉でない自らの言葉で愛でることができるようになった。」と頼もしい限りです。
本書は、周囲とのちょっとした違和感を感じるところから、文学や俳句は出発するということを思い出させてくれる一冊でした。
頼もしい乙女たちの指導者である塩見恵介様、本書のご恵贈を感謝いたします。ありがとうございました。