水中の河馬が燃えます牡丹雪      坪内稔典

 

今朝は、昨夜からの雪が車や家の屋根に残り、梅の蕾も雪をかぶって寒い朝となりました。それでも、春の雪です。お昼までにはすっかり消えました。俳句は、『カバに会う―日本全国河馬めぐり』(坪内稔典著 岩波書店)から引用しました。その中で、著者は「言葉の風景画」

という言葉を用いて、下記のように説明しています。以下、引用です。

 

 水の中のカバが燃えるということは現実的にはありえない、だが、言葉の世界ではその光景を思い描くことができる。この句は「言葉の風景画」と思ってもらうといいのです。音を組み合わせ、連ねると音楽の世界ができます。絵の具を塗り重ねると絵の世界ができます。言葉もですね、何かを伝えるのではなく、音や絵の具のように組み合わせたり連ねたりすると、言葉自体が世界を作ります。それを私は「表現する言葉」と呼んでいます。何かを伝える日常の言葉は「道具としての言葉」である。道具としての言葉ではカバは燃えません。でも、「表現する言葉」はカバだって燃やしてしまうのです。