佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の橋間葵です。



暑くなってくると、麻痺側の手の握り込みや指通しがくっついている方は手のひら側が湿っていたり、指と指の間に垢がたまりやすくなっている方が少なくないと思います。



脳卒中後の麻痺側の手の管理は、痛みの予防や関節が硬くなることを予防することに重要です。



また、麻痺側の手の皮膚は弱く、ゴシゴシと強く洗うと、皮膚がめくれてしまい、なかなかめくれた皮膚が治らずに滲出液(しんしゅつえき)という汁が出るようになり、衛生的にもよくない状態になる場合もあります。



特に暑くなる時期には指が曲がっている状態であれば、手のひら側が蒸れて皮膚が柔らかくなりすぎてめくれやすくなったり感染を起こしやすくなります。



夏本場を迎える前に、麻痺側の手のセルフケアについて知っていただければよいかと思います。



 麻痺側の手が柔らかく痛みがない場合


普段の手洗いで、しっかり麻痺側の手を洗いましょう。



ゴシゴシ洗うと皮膚を痛めてしまいますので、優しくたっぷりの泡で洗いましょう。



麻痺側の手をしっかり洗うことは衛生面の管理だけではなく、麻痺側の手に感覚入力を与えたり、他動で指を動かすきっかけにもなりますので、トイレの後や食事前などに意識して洗うとよいかと思います。



そして、しっかり拭き残しがないようにタオルなどで優しく水分を拭き取りましょう。



 麻痺側の手が硬くなっているが反対の手で動かせる場合


麻痺側の手が硬くなっていても反対側の手で指を広げるなど可能な場合もしっかり手洗いすることをおすすめします。



ゴシゴシと強く洗うのではなく、優しくたっぷりの泡で洗って水分を拭き取りましょう。



手が硬くなっている場合、指が曲がっている時間が長いと曲がった位置で関節が固まってしまう可能性がありますので適時ストレッチなどを行いましょう。




上の写真のように指が曲がっている時間が長いと、手のひら側が湿気でむれることがあります。




使い古して柔らかくなっているおしぼりやガーゼハンカチなどを畳んだり丸めたりして、手のひらと指の間に入れておく方法をとり、湿気を吸い取る方法もあります。



 麻痺側の手が硬く痛みがある場合


麻痺側の手が硬くて痛みがある場合、ご自分だけで指を広げたり、指の間にガーゼなどを入れると上手くいかずに手指を痛めてしまうことがあります。



訪問看護や訪問リハビリのスタッフに手指の広げ方の方法を教えてもらって対応を考えたり、デイケアや訪問スタッフに衛生面の管理として手を洗ってもらったりおしぼりなどをあてがってもらったりすることをおすすめします。



手指が硬くて痛みがある場合、爪を切ることが大変な場合が多いので、訪問看護の方やデイケアにいる看護師などに爪切りを依頼して、爪が手のひらに食い込まないように予防することも大切です。



 最後に


入院しているとき、なかなか麻痺手のセルフケアについて学ぶ機会がなかった方が多いと見聞きしています。



わたしは入院中の作業療法として手を洗う練習をすることがありますが、ご自宅で過ごしている方で手を洗う経験していない方が少なくないと思います。



夏は特に手のひら側に熱や湿気がこもりやすいので、できる範囲で麻痺手のセルフケアに勤めていただけたらと思います。



☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました .。.:*☆