佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の橋間葵です。



脳卒中発症直後、自分自身の体に何があったのか、どうなっているのかわからずに、立ちあがろうとして転んだり麻痺手を巻き込んだりするなどの症状が出ることがあります。



脳卒中発症直後から回復期リハビリテーション病棟に転院するまでの急性期病院で治療を受けている期間に多く見られますが、しばらく経っても麻痺側の手を忘れやすいという症状が残っている場合があります。



右片麻痺・左片麻痺のどちらでも出るというわけではなく、さまざまな論文や資料を読んでも、左片麻痺に伴って生じるとしている資料が多いです。



症状としては、、



✔️ 麻痺があること事態を否認する



✔️ 麻痺していること自体に気がつかない



✔️ 麻痺していることをわかっていても深刻味に乏しい



✔️ 麻痺していることをわかっていても無関心




という状態を確認することが出来ます。



麻痺側の手を忘れやすいという症状の原因には感覚障害や半側空間無視などがありますが、自分の状態に気がつかないという「病態失認」が原因の場合もあります。



病態失認(anosognosia)は、「自分の病態に気づかない」という状態のことを指します。



意識障害があり少しボーっとしている場合やさまざまなことを認識出来ない状況のときに、麻痺手を認識できるように意識化したとしても効果があまりないという資料もあります。



麻痺側の手を忘れることからくる怪我や事故などから身を守ることができるようなリスク管理を医療スタッフは準備する必要があります。



その対応のひとつが三角巾の使用です。



寝返りや起き上がりのときに、麻痺側の手を忘れてしまうために、胴体の下に麻痺手を巻き込んでしまうのを予防するために三角巾を使うことがあります。



また、立ち上がりや車椅子の乗り移りのときにも麻痺側の手を忘れてしまうと、麻痺手を手すりや車椅子にぶつけてしまい怪我する可能性が高まります。



この場合も三角巾を使って、車椅子の乗り移りなどのときに麻痺手がぶつかって怪我をしないように管理する方法を取ることが多いです。



脳卒中後の症状はさまざまなものがありますが、リハビリスタッフとして見逃さないように観察する力と分析して回復を目指すリハビリを提供できる力を蓄えていきたいと思っています。



引用・参考


1) 大東 祥孝 :病態失認と身体意識. 高次脳機能研究 第 32 巻第 3 号

https://www.jstage.jst.go.jp/article/hbfr/32/3/32_446/_pdf



2) 大東 祥孝:病態失認の捉え方. 高次脳機能研究 第 29 巻第 3 号

https://www.jstage.jst.go.jp/article/hbfr/29/3/29_3_295/_pdf



☆*:.。.最後まで読んでいただきありがとうございました.。.:*☆