佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の橋間葵です。
今年も後残りわずかとなりましたね。
今年も自己研鑽のためにたくさんの論文を読む機会に恵まれました。
また、普段からお世話になっている療法士の方々から、紹介していただいた論文にも目を通させていただき、毎日の臨床場面で活用しています。
意識して読んでいる内容は、システマティックレビューと呼ばれるものです。
システマティックレビューとは、世界で発表されている論文について、あるテーマに沿って研究論文を集めて、エビデンスをまとめています。
わたしが意識して探しているシステマティックレビューは、脳卒中後の麻痺手に対するリハビリテーションがテーマであったり、脳卒中後の高次脳機能障がいに関するものです。
また、コホート研究と呼ばれる疾病の要因と発症の関連を調べていく観察的な研究方法の論文も探すことが多いです。
以下に脳卒中後の麻痺手のリハビリテーションに関して、今年報告された論文でお世話になっているものの要点を記していきたいと思います。
その1:
Steff Doumen et al.: Efficacy and Dose of Rehabilitation Approaches for Severe Upper Limb Impairments and Disability During Early Acute and Subacute Stroke: A Systematic Review. Phys Ther. 2023 Apr 4;103(4)
この報告は、急性期から亜急性期の脳卒中後の重度上肢麻痺の回復に対するリハビリテーションの方法の有効性を検討するものです。
有効性を検討する際に、リハビリテーションの実施時間や期間や強度などについて考慮しながら検討しています。
リハビリテーション内容の種類に関わらず、上肢のリハビリテーションは重度の上肢障害に有益だとしています。
また、最も一般的な上肢に対するリハビリテーション内容として、ロボットを用いた介入と機能的電気刺激が挙げられました。
その2
SP Newton et al.: Dose, Content, and Context of Usual Care in Stroke Upper Limb Motor Interventions: A Systematic Review. Clin Rehabil. 2023 Nov;37(11):1437-1450.
この報告は、脳卒中後の入院患者さんに対する上肢のリハビリテーションの時間と内容を取り出し、背景因子がリハビリテーション実施時間と内容を変化させるかどうかをみたものです。
脳卒中後の入院でのリハビリテーション時間は1日あたり23分〜121分で、訓練の反復回数やセッション数などもまとめています。
脳卒中後の上肢麻痺が重度の場合、課題実施時間も短いことがわかりました。
その3
Tenberg S et al. : Comparative Effectiveness of Upper Limb Exercise Interventions in Individuals With Stroke: A Network Meta-Analysis. Stroke. 2023;54:1839–1853
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/STROKEAHA.123.043110
脳卒中後の上肢麻痺に対して、多くの効果的な介入方法がありますが、この報告ではどれが最も効果的であるか示されています。
電気刺激と課題特異的トレーニング(低エビデンス)、高容量の拘束誘発運動療法(中等度エビデンス)、筋力トレーニング(低エビデンス)の併用は、脳卒中患者の上肢運動機能の改善に最も効果的な介入であったと記しています。
最後に
今回は、脳卒中後の上肢のリハビリテーションについて記されている2023年の論文について紹介いたしました。
新しい内容の報告や情報を探求しながら、臨床に応用していきたいと思っております。
☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました .。.:*☆