佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の橋間葵です。

 

 

脳卒中後のリハビリについて、さまざまな方法を目にすると思いますが、ロボットリハビリや電気治療など機器が必要な方法はなかなか実施できないことが多いのではないでしょうか。

 

 

当院もロボットや脳卒中後の麻痺の手足の動きを改善させるための目的の電気治療機器はありません。

 

 

脳卒中治療ガイドラインなどでは、最新の機器を用いたリハビリなどが推奨されていますが、当院を含め全ての病院や施設で実施できないところが辛いなと思っています。

 

 

しかしその中でも、ミラーセラピーは道具が比較的安価で、道具自体を手作りしている施設もあり、取り組みやすい治療方法なのではないかと思っています。

 

 

わたしも、数年前にミラーセラピー用の道具を手作りして、患者さんのリハビリを行った経験があります。

 

 

これまでブログでミラーセラピーについてご紹介していませんでしたので、簡単にミラーセラピーについてまとめていきたいと思います。

 

 

 ミラーセラピーとは


出典:脳卒中片麻痺患者の手指運動機能障害に対するミラーセラピーの効果



ミラーセラピーとは、もともと手足の切断後に生じる幻肢痛の症状改善のために用いられいた治療方法です。

 

 

そのミラーセラピーが脳卒中後の手のリハビリとして応用され、さまざまな効果が報告されています。

 

 

両手をボックスの中にいれ、両手の間を遮るように鏡を配置し、健側側の手が鏡に映るようにします。

 

 

麻痺の手は患者さんから見えないようにしておきます。

 

 

患者さんからはご自身の健側の手と鏡に映った健側の手が見える状態にしておきます。

 

 

患者さんがご自身の健側の手を動かすと、鏡に映った健側の手があたかも麻痺手が動いたような錯覚が生じます。

 

 

麻痺手があたかも動いたように錯覚するので、体性感覚の運動錯覚を利用したリハビリとなります。

 

 

脳卒中のリハビリ方法の中に運動イメージを用いる方法がありますが、健側の手の動きを麻痺の手の動きのように錯覚させることで、患者さんが麻痺の手の運動イメージを行いやすくすることができます。

 

 

 ミラーセラピーによる麻痺の手の改善のメカニズム

 

ミラーセラピーによる麻痺の手の改善のメカニズムは諸説ありますが、以下の3つについて記されていることが多いです。

 

 

① 麻痺の手に注意を向け、運動の錯覚や運動イメージを通して、麻痺手の運動に関わる神経ネットワークが活性化される

 

 

② 麻痺側と同じ側の脳が支配している運動の関わる神経ネットワークが活性化される

 

 

③ 他者の動きを観察したときに活性化されるミラーニューロンシステムが活性化される

 

 

 ミラーセラピーの実施方法

 

ミラーセラピーの実施方法は、通常型のリハビリに1日20分~30分程度のミラーセラピーを追加実施している報告が多々みられました。

 

 

麻痺手のミラ-セラピーには、

 

✔ 前腕の回内外・手関節の屈伸・手指の屈伸

 

✔ スポンジ握り

 

✔ ボール回し

 

✔ ブロック・ビー玉などのつまみ

 

など実践している報告がありました。

 

 

麻痺足のミラーセラピーには、

 

✔ 膝の屈伸

 

✔ 足関節の屈伸

 

など実践している報告がありました。

 

 

 最後に

 

今回はミラーセラピーについて簡単に記しました。

 

 

脳卒中後のリハビリテーションについて報告されているものをこれからもブログに取り上げていきたいと思います。

 

 

引用・参考

1) 網本 和:脳卒中例に対するミラーセラピーの臨床応用とその効果の可能性.理学療法の医学的基礎 第12巻第2号(2009)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jptf/12/2/12_5/_pdf/-char/ja

 

2) 野蔦 一平:運動錯覚を利用した運動学習における神経可塑的変化の検討.日本基礎理学療法学雑誌 第17巻2号(2013)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jptf/17/2/17_11/_pdf/-char/ja

 

3) 阿部 大豊 他:動画を用いた視覚刺激による自己運動錯覚が随意運動の発現に及ぼす影響.日本基礎理学療法学雑誌 第18巻2号(2015)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jptf/18/2/18_27/_pdf/-char/ja

 

4) 野嶌一平:視覚入力刺激を用いた運動学習の脳内機構.理学療法学 第 41 巻第 8 号 540 ~ 543 頁(2014 年)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/41/8/41_KJ00009647374/_pdf

 

5) 野嶌一平 他:ミラーセラ ピー運動学習におけるヒトー次運動野機能の役割.理学療法学 第 39 巻第 2 号82一89頁(2012年)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/39/2/39_KJ00008046836/_pdf/-char/ja

 

 

6)平上 尚吾 他:脳卒中片麻痺患者の手指運動機能障害に対するミラーセラ ピーの効果.理 学 療 法 学 第 39巻 第 5 号 330一337 頁 (2012年 )

https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/39/5/39_KJ00008159427/_pdf/-char/ja

 

 

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