佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の橋間葵です。



脳卒中後、入院中にリハビリを行うとき、さまざまなリスク管理を行いながらリハビリの内容を決めていきます。



主治医より、ベッド上でのリハビリにとどめる必要がある方や、ベッドから足を下ろして端座位訓練まで許可が出ている方、車椅子でリハビリ室に出向いてよい方などさまざまな指示が出されます。



脳卒中後の急性期から、食事を口から食べることが難しくなり、点滴治療で栄養管理をしている場合、体は十分な栄養状態でないことが少なくありません。


出典:脳卒中の栄養管理



脳卒中治療ガイドライン2015では、低栄養の方が脳卒中発作発症後急性期では6〜60%の割合で認めると記されています。



一般的に低栄養とは、「健康維持に必要なエネル ギーや栄養素の量的・質的な不足による病的状態とし、直接的な原因は消費と供給のバランス不良によるエネルギー量や特定の栄養素の欠乏である」と定義づけられています。



低栄養状態で、リハビリテーションを行おうとした場合、体を動かすためのエネルギーが少ないため、筋肉を分解してエネルギー源にしようと体が反応するので、筋肉量が減少し、逆効果になる可能性があります。



栄養ケアを考慮せずに積極的にリハビリを実施そると、思わぬエネルギー消費につながり、全身状態を悪化させる危険性があります。



脳卒中後の必要エネルギーは、標準的なエネルギー量より20%程度増加すると言われています。



以下の図のように、基礎エネルギー(BEE)に活動係数やストレス係数をかけたものが、全エネルギー消費量ですが、どのタイミングで栄養を補填するか明確な基準はないのが現状です。


出典:リハビリテーション栄養ポケットマニュアル


脳卒中後のリハビリを考えるとき、おひとりおひとりの栄養状態を把握して、リハビリの負荷量を主治医とともに考えていくことが大切だと思っています。



引用・参考

1) 脳卒中の栄養管理. 月刊ナーシング Vol.33 No.2 2013.2

https://gakken-mesh.jp/info/wp-content/uploads/2013/01/7c55e2bac16afc075e8941f16c65484f.pdf


2)リハビリテーション栄養学会診療ガイドライン2018

https://minds.jcqhc.or.jp/docs/gl_pdf/G0001083/4/rehabilitation_nutrition.pdf


3) A Lo Buglio et al:Impact of Nutritional Status on Muscle Architecture in Elerly Patients Hospitalized in Internal Medicine Wards.


4)長野 友彦 他:脳卒中患者における障害重症度と低栄養が歩行自立獲得日数に及ぼす影響.理学療法学.2017

https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/advpub/0/advpub_11287/_pdf


5) 山本 拓史:脳卒中の栄養療法. 神経治療 Vol. 39 No. 1(2022)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/39/1/39_18/_pdf


6) 全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会:回復期リハビリテーション病棟における栄養管理マニュアル.2010

http://www.rehabili.jp/publications/manual/221108_eiyo_m.pdf


7) 吉村芳弘:回復期のリハビリテーション栄養管理. 日本静脈経腸栄養学会雑誌 3(14):959-966:2016

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspen/31/4/31_959/_pdf



8)クリニコ:リハビリテーション栄養ポケットマニュアル

https://www.clinico.co.jp/medical/rehabilitation/pdf/180516_01.pdf

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