佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の橋間葵です。

 

 

普段、毎日の臨床業務の中でより精度の高い作業療法、より根拠のあるリハビリテーションを提供することができるために学び続けています。

 

 

より信頼のある情報を得るために、各種ガイドラインを読み、担当患者さんへの実施が可能であるか、当院のリハビリ室での環境で実施可能であるか十分に考慮してリハビリ計画を立てています。

 

 

ガイドライン以外に参考にしているものとして「コクランライブラリー」があります。

 

 

「コクランライブラリー」は、システマティックレビューが収載されており、信頼性の高い総合的なエビデンスをタイムリーに提供してくれます。

 

 

 

 

コクランは、「質の高い情報を用いて健康上の意思決定をしたいと考える人のためにある」とうたっており、「臨床家・患者・介護者・研究者・政策立案者に関係なく、意思決定をよりよいものにする強力なツール」と明記しています。

 

 

 コクランライブラリーに掲載されている脳卒中後の作業療法に関するエビデンス

 

 

コクランライブラリ-において「脳卒中 作業療法」のキーワードで検索すると、以下の4つのシステマティックレビューが確認できます。

 

 

▼ 脳卒中患者の認知機能障害に対する作業療法

 

作業療法が脳卒中後の日常生活動作や認知機能を改善するかどうかを検証したシステマティックレビューです。

 

脳卒中後の認知機能に問題がある方に対して、作業療法を行った直後と6ヶ月後ではセルフケア活動を行う能力に意味ある違いがわずかから全くない可能性があると記されています。

 

 

認知機能障害に対して作業療法は、記憶力や柔軟な思考力のいくつかの側面をわずかに改善することがあるとも報告されています。

 

 

これらの報告のエビデンスは確実性が低く、または非常に低いとしてあります。

 

 

▼ 脳卒中後の日常生活活動に問題のある成人に対する作業療法

 

脳卒中後の成人に対する作業療法は日常生活活動においてどのような効果があるか調べたシステマティックレビューです。

 

 

脳卒中後の患者に対する作業療法は、その方々の日常生活活動を行う能力を向上させ、その能力の低下を防ぐことが明らかになったと記されています。

 

 

また、その他については、作業療法が死亡率や施設での介護負担を減少させたり、脳卒中患者の気分や苦痛に影響を与えたりするという根拠は見出されなかったとのことでした。

 

 

これらの報告のエビデンスは低いと判定されています。

 

 

▼ 脳卒中および成人で発症した非進行性脳損傷の知覚障害に対する非薬物的介入

 

典型的な感覚刺激は、作業療法士の補助下で視知覚処理を要する作業課題を練習していましたが、知覚介入が有効であるとの見解を支持または否定する十分なエビデンスがない状態であったと報告されています。

 

 

引き続き、知覚障害の問題を有する患者は、臨床ガイドラインに従って神経リハビリテーションを引き続き受けるべきであると結論づけています。

 

 

▼ 脳卒中や時間の経過とともに悪化しない脳損傷(非進行性)後のリハビリテーションをサポートするための環境エンリッチメントによる治療

 

環境エンリッチメントとは、リハビリテーションにおける比較的新しい概念で、リハビリ時間以外に過ごす環境(病棟など)自体を魅力的で運動やゲーム的要素をなどを取り入れデザインされている場所をさします。

 

 

設定された環境エンリッチメントは、コンピューターやゲーム機器、音楽や読書など複数の活動を含んでいました。

 

 

これまでの報告では、不確実な結果でしかないが、効果的ではないということを意味するものではありません。

 

さらなる研究が必要であると結論づけています。

 

 

 最後に

 

エビデンスについては、確実性が高いものばかりではなく、良い結果・良くない結果ともにしっかりみていく必要があります。

 

 

また、結果がはっきりしていないものであっても、患者さん個人個人にとっては意味あるものリハビリ内容であることは否定できません。

 

 

おひとりおひとりにあわせたリハビリ計画を立てるために、しっかりエビデンスを確認し、不確実なものにもチャレンジしていきたいと思います。

 

 

引用・参考

 

 

 

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