佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の橋間葵です。



脳卒中後の見えている空間を把握しにくくなる症状に「半側空間無視」がありますが、半側空間無視は視野自体の障がいがあるわけではありません。



「半側空間無視」以外にも見えている空間を把握しにくい視野障がいがあります。



今回は、脳卒中後の視野障がいについてまとめていきたいと思います。



 視覚に関する脳領域


出典:目と健康シリーズ


目から入った情報は、神経線維(視放線)を通じて、脳の後ろにある後頭葉に伝達されます。



後頭葉に入った情報は、頭頂葉や側頭葉に伝達され、どんなものであるか、どこにあるか把握することができます。



 脳卒中後の視野障がい


脳内の目からの情報を伝える経路の部分で、脳出血や脳梗塞が生じた場合、視野の半分や4分の1の視野障がいが出現する場合があります。



出典:船橋市立医療センター脳神経外科


上記の図は、目から入った情報を伝える神経経路のどの部位で損傷を受けると、どのような視野障がいが出るか表したものです。



視野の図の⑥は、後頭葉の出血や梗塞で出現することが多い、「同名半盲」という視野障がいです。



左右どちらかの後頭葉のダメージがあると、視野の①の失明状態になるのではなく、左右の目の半分ずつの視野障がいが生じます。



同名半盲は、半側空間無視とは異なり、自分自身で見えないという自覚が生まれやすいので、見えにくい側については顔をしっかり向けて代償しようとすることができます。



同名半盲に対するリハビリは、代償動作の指導がメインです。



 最後に


今回は、脳卒中後の視野障がいについてまとめました。



半側空間無視は、無視していること自体が気づきにくいと言われますが、同名半盲などの視野障がいは本人が気付きやすい症状です。



しかし、脳卒中発症直後は、視野障がいがある中での生活に慣れていませんので、意識的に見えにくい方をみていただくことが必要です。



脳卒中後のリハビリとして、麻痺や高次脳機能障がいと合わせて、しっかり視野障がいに対しても支援していきたいと考えています。



引用・参考

1) 小松 英彦:脳の視覚情報処理.情報処理Vol.50 No.1 Jan.2009

https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/?action=repository_action_common_download&item_id=62907&item_no=1&attribute_id=1&file_no=1



2) 目と健康シリーズ No.21

https://www.skk-net.com/health/me/item/Eye21_2101.pdf



☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました.:*☆