佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の橋間葵です。
同じ時期に脳卒中になられてから、数年後お会いしたり、SNSでの近況を確認すると、その方によって、さまざまな症状が残っているなと思うことがありませんか。
リハビリの内容や、年齢・体力などで予後が変わりますが、脳のダメージを受けた場所で出現してくる症状が異なるので、残っている症状が異なる場合があります。
今回は、脳出血による脳のダメージを受けた場所ごとの臨床症状についてまとめていきたいと思います。
脳出血の疫学
2014年のGotoh S の調査では、被殻出血の割合が減少して、視床出血・脳幹出血・皮質下出血の割合が増加していると報告されています。
高血圧性脳出血は、中高齢者の被殻・視床・小脳などの好発部位で高血圧(の既往)がある場合に「高血圧性脳出血」と診断されます。
高血圧が既往歴にない場合は、AVMや脳腫瘍、その他の脳血管奇形による出血の場合が多いです。
被殻出血の臨床症状
出典:ラジオロジー
・血腫の大きさにより、無症状から上肢に強い麻痺が出現するなど多彩な運動障がい
・大出血では弛緩性麻痺
・意識障害(血腫が大きい場合)
・眼球が病側を向く
・顔面を含んだ片麻痺、感覚障害 ・対側の同名半盲
・優位半球なら運動性失語、劣位半球なら失行・ 失認
視床出血の臨床症状
出典:視床出血の臨床症状と障害部位の検討
・顔面を含んだ片麻痺、感覚障害
・触れられるだけで痛みを生じる(視床痛)
・優位半球なら運動性失語、劣位半球なら失行・ 失認
小脳出血の臨床症状
出典:小脳出血
・運動失調
・構音障害
・頭痛
・めまい
・嘔吐
脳幹(橋)出血の臨床症状
出典:脳領域の臨床におけるCTの位置づけ
・意識障害
・四肢麻痺、感覚障害 ・脳神経麻痺
・体温調節障がい
・頭痛
・めまい
・嘔吐
皮質下出血の臨床症状
出典:高血圧性皮質下出血例の経時的脳血流量測定
・上記以外の脳出血全般をさす
・反対側の片麻痺、感覚障害
・優位側で失語、頭頂葉で失認
・後頭葉出血で同名半盲
・けいれん
・頭痛
・嘔吐
最後に
脳はさまざまな部位で役割が異なります。
書籍や論文などで記されている脳出血ごとの臨床症状は、すべての方に当てはまる万全のものではないと思っています。
役割が異なる脳部位が、脳出血でダメージを受けるので、出現してくる症状が異なります。
しっかり、患者さんごとの症状を把握して、リハビリ計画を作ったり、リハビリを行なっていきたいと思っています。
1) 黒川 幸雄 他:臨床動作分析マニュアル.文光堂.2011
2) ラジオロジー
https://www.j-rc.org/public/radiology/pdf/radio2013_21.pdf
3) 飯星 智史 他:視床出血の臨床症状と障害部位の検討.函医誌 2006
3) 田上 なつ子 他:小脳出血.鹿児島医師会誌会報
https://www.kufm.kagoshima-u.ac.jp/~ns/pdf/129.pdf
4) 渡邊 嘉之:脳領域の臨床におけるCTの位置づけ.
5) 吉田 憲司:高血圧性皮質下出血例の経時的脳血流量測定.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke1979/18/4/18_4_294/_pdf
☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました.。.:*☆