佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の橋間葵です。
昨日、にんじんの拍子切りをしていて、左の薬指を少し包丁で切ってしまいました。
考えごとでもしていたのでしょう。
どんな指の配置だったから指を切ってしまったのか覚えてません。
普段、あまりにも無意識でいろんなことをしていて、急に意識してもよくわからないことって多いですね。
そんなことを考えていたら、臨床場面のことが頭をよぎりました。
「手が動かない」
「指が動かない」
脳卒中の後遺症で、手や指が動かなくなったときに訴える言葉ではないでしょうか。
「手」と全体的に動かないことをおっしゃられたり、「指」と細かい体の部分の名を使い、動かないこと思いを伝えてくださる方もいます。
動きにくい体の部分の名を使うとき、「手のひらが動かない」と自ら気がついて、教えてくださる方は少ないのではないでしょうか。
わたしは、麻痺した手に対して、リハビリテーション介入を行うとき、患者さんの「手のひら」についても細かく観察します。
なぜ、手のひらについて患者さん方は自ら訴えることが少ないのに、セラピストは観察するのでしょう。
少しばかり紐解いてみたいと思います。
手のひらの動きを観察する
ブログを読んでくださっているとき、スマホを片手に持っている場面で考えてます。
左手でスマホを持っているところを想像しましょう。
左の指がスマホのどのあたりを触れたり、支えたり、固定したりしていますか。
親指と薬指・小指が向かい合うように位置して、その間にスマホがあるとしましょう。人差し指と中指はスマホの背面を支えていると仮定しましょう。
そのとき、手のひらはどんな形になっていますか。
手のひらは平坦でなく、少しばかり丸みを帯びたような形になっているでしょう。
次に右手で文字を書くためにペンを持っていると想像しましょう。
ブログを読むためにスマホを持っているときの手のひらの形と、文字を書くために右手でペンを持っているときの手のひらの形が違うと気がついたのではないでしょうか。
手のひらを平らにして指を動かしてみる
今度は手のひらを平らにしたままで、指を動かしてみましょう。
手のひらが平らないままだと、指の付け根の関節を動かすことはできなくて、指先から一つ目と二つ目の関節をわずかに動かすことができるのみでしょう。
指先の関節をわずかに動かしても、手のひらの筋肉が動くことを感じ取った方がいるかもしれません。
では、手のひらを平らにしたままで、近くにある何かをつまんでみましょう。
つまむことが出来ましたか。
おそらく、手のひらが平らなままだと、物をつまむことが出来なかったのではないでしょうか。
手のひらの役割を考える
はじめて、手のひらの動きを観察した方も多いのではないでしょうか。
何か手を使って、物をつまんだり、握ったりするときに、手のひらの形が変わることがわかりましたね。
今まで、手のひらは、何にもしていないように思っていた方もいるでしょう。
手を使って日常生活を送るときに、手のひらはさまざまな形に変化しています。
さまざまな形に変化するので、指の腹が持ちたい物にピッタリ合わせることができます。
手のひらがお椀のような形になるので、水をすくうことができます。
手のひらが丸まったままではなく、平らにすることもできるので、洗濯物を畳むときに手のひらでシワをのばすことができます。
日常生活の中でのやりたいことのために、さまざまな形に変化して、物を扱ったり、支えたり、包んだりすることが手のひらの役割です。
手のリハビリテーションを行うとき、手のひらが何のために、どんな形になったらいいか考えたり、訓練メニューを考えてみませんか。
*・゜゚・*:.。.最後まで読んでくださってありがとうございました*:.。. .。.:*・゜゚・*