にきび治療でアグネス希望で来院される患者様へ | ドクターブログ

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ー 碧南市のあおい皮フ科クリニック ー

にきびで受診される方でアグネスがご希望で遠方から、また多くのクリニックを受診され治らないとのことで来院される患者様がいらっしゃいます。そのような患者様は恐らくにきびで本当に悩まれていて自分でネットで調べて藁をもすがる思いで受診されていることには間違いないと思います。アグネスは針の先に電気を流してニキビのできている毛包を1個づつ破壊する機器です。ネットでみるといろいろなホームページで紹介され、にきびの根本治療のように書いてあり、実際ににきびが改善した症例写真も散見されます。もちろん書いてあることは嘘ではないと信じたいですがそれはたまたまでアグネスの単独治療で根本治療は難しいと考えています。それはアグネスでは目に見えない微小面皰の治療はできないためです。もちろん当院で実際に治療する際にはできるだけにきびを治療するために手術用のルーペを使用していますが限界はあります。

にきびの病態ですが皮脂(皮膚のあぶら)の分泌が多いことと毛穴の先が詰まることで、毛穴の中に皮脂がたまることで始まります。この状態が面皰(めんぽう)です。このにきびの卵である微小面皰は目に見えません。面皰の中は、皮脂が豊富で酸素が少なくアクネ菌(Propionibacterium acnes)が増えやすい環境にあります。アクネ菌はどんな毛穴にもいる常在菌ですが、数が増えると炎症を起こして赤いぶつぶつしたにきびや膿がたまったにきびを引き起こします。強い炎症を生じて、毛穴の周りの皮膚に障害を与えると、ケロイド状に盛り上がったり凹んだりして瘢痕(はんこん)を残します。

にきび| 大田区大森の大木皮膚科【ニキビ・肌荒れの漢方治療のご ...

よくあるのが

「他院で薬もらっていましたがにきびが治らないんです。」

「どのような薬をどれくらいの期間、どのように使用していましたか?」

「・・・・・・アグネスがしたくてきたんですが」

「はい わかりました」とその流れでアグネスをするのはあまりにも無責任です。

ここ数年でにきび治療は薬が増えて格段に進歩しており大体のにきびは保険治療でキレイに治ります。そのため治らない方は薬をもらってても実際ににきびの病態を理解しておらず途中でやめてしまったり、塗り方が誤っていたりすることも多いです。

「それではまずはこちらの指示通りにまずはこの薬を塗ってみてください。それで難しいようなら次のステップを考えていきましょう。」とお話して看護師さんににきびの説明、塗り方の説明をしてもらっています。

それで納得して治療に前向きになってくださる方もいればアグネスがしたくて来たのにこのような治療をなぜしないといけないのかと怒って帰られる方もいらっしゃいます。こちらも患者様の意見は尊重したいと考えてはいるものの患者様の状態をみてにきびを治すための最善の治療を提案していますので残念だと思います。

アグネスをしなくても通常の治療でもにきびはほとんどの人がキレイになりますよ。

 

 

にきび跡にはフラクショナルレーザーを使用していますがにきびに関しては塗り薬(エピデュオ)にて十分なコントロールが得られています。

アグネスの適応としては塗り薬を塗っているにも関わらずいつも同じ場所にできる難治なにきび、炎症を繰り返して袋を形成したにきびなどには使用するのはいいかと考えます。またにきびではありませんが汗管腫に対してアグネスは根治治療のできるいい治療と考えています。汗管腫については長くなりましたのでまた次回ご紹介していきます。