おはようございます☀

ムサコ行政書士の卵です。


芸能ネタで恐縮なのですが、とても心が痛んだ話なので取り上げたいと思います。

おすぎさんととピーコさん(78歳)の件です。



週刊新潮の記事の全てが真実ではないと思いますが、今はここからしか情報を得ることが出来ないので、記事の全文を読んだ上でポイントをまとめます。


①先におすぎさんが認知症の症状あり。ピーコさんが心配して同居。しかし、老老介護は上手くいかず、22年2月頃におすぎさんは高齢者施設へ入所

②その後ピーコさんも認知症と疑われる症状あり。家のカギが見つからない、ゴミ捨てのルールが理解できないなど日常生活に困る状況

③2人のマネジメントを担っていた複数の会社は

21年から22年にかけて解散。共に仕事をしてきた人は2人に寄り付かない。元マネージャーにピーコさんの件で連絡したら「もう関係ないから一切連絡してこないで」とそっけなくあしらわれる。

④区役所職員が月に数回ピーコさんの元を訪ねて安否確認をしていた。

⑤23年3月に窃盗の容疑でピーコさんを逮捕。これまでに数回万引きをしていた。善悪の判断がついておらず釈放。施設で保護することに。

⑥ピーコさんは施設に入るのは強く拒否していた。役所としても無理やり施設に入れることができないので手を焼いていた。


お二人のことを気の毒に思ったのは③の件です。おすぎさん、ピーコさんと元マネージャー達がどのような関係性だったのかは分からないですが、人生のある時期、お2人の活躍のおかげでお仕事があったのがマネージャー達だと思います。頼れる人がおらず、明らかに困っているお2人の生活を立て直すお手伝いをすることで恩返しをしてほしかったなぁと思います。商品価値がなくなったら去るのはビジネス的な感覚なんでしょうけれど、あまりに冷たい対応に私は感じました。


①と⑥に関してですが、おすぎさんはわりとすんなり施設に入居。ピーコさんは最後まで入居を拒まれていたのかな?と思います。この違いでピーコさんは犯罪を犯してしまいました。


「施設に入りたくない。」と認知症の方、認知症ではないご老人達が仰るのを聞いたことが何度もあります。

住み慣れた家から離れたくない気持ちは理解できますが、施設ってそんなに悪いものなのでしょうか?基本、上げ膳据え膳です。安心、安全な場所ではないでしょうか?認知症の方が1人暮らしをすることにご近所さんや離れて住む家族は心配します。そのような周囲の心配も施設に入居されることで解消されるのではないでしょうか?

「体が不自由になったり認知症になったら家で暮らすことは難しくなることもあり得る。」という考えを持ち、「施設に入りたくない。」という気持ちばかりを膨らませないようにする必要があると思います。

「意思決定支援」という考えが今の日本にはありますので、例え認知症でもご本人が「施設に入りたくない。」と言ったらその意思を無視することはできません。しかし、現実問題として、命の危険性があったり犯罪を犯す可能性があってもご本人の意思を尊重する必要があるかは難しい点だと思います。ですのでピーコさんの件でも役所の方も大変に困られたのかと思います。


⑤に関してですが、認知症が進むとお金の管理ができなくなります。銀行からお金を引き出す能力さえなくなる場合があります。銀行側が認知症だと分かったら口座を凍結することもあります。おすぎさんとピーコさんの資産がどれだけあったかは分からないですが、たとえ銀行に多額の資産があっても手元に自由に使える現金がない状況になることはあり得ます。

つまり「お金があったら老後はどうにかなる。」というわけではないのです。


万が一、認知症になったら自分に代わってお金の管理をしてくれる信用できる人を準備しとくことをお勧めします。認知症になる前に準備するのは任意後見人契約や家族信託になります。


例えばピーコさんの場合、判断能力があるうちに信頼できる人や行政書士などと任意後見人契約をしておきます。受任者に見守りをしてもらい、認知症を発症したら受任者が家庭裁判所に任意監督人選任の申立て、家庭裁判所での手続きを経て財産を任意後見人が管理することになります。そうしたら生活費をピーコさんに渡してお買い物をしてもらうことができていたかと思います。また、見守ってもらうことで異変に気付き、任意後見人がケアマネジャーや市の職員などと協議して罪を犯す前に何らかの対応ができた可能性が高いと思います。

1人でお住まいの高齢者には定期的に見守ってくれる人がいることは大事だと思います。家に人が来ることを拒むご老人も多いですが、生活支援サービスの方や訪問医療サービスの方など信頼できる人に家に訪問してもらうことは異変に気づくためにも大事ではないかと思います。一方で認知症のご老人を狙った悪徳ビジネスもありますから、誰でも受け入れるのではなく見極めることも必要です。


超高齢社会の今、認知症になる可能性は誰にでもあります。

おすぎさんやピーコさんのようにご活躍されても、老後は誰にも気にかけてもらえず、お金の管理などができなくなり犯罪者として通報されるなんて悲しすぎます。

そうならない為にはご自身が元気なうちに、例えば70歳を過ぎたら「万が一認知症になった時の為の備え」をすることをお勧めします。老いと向き合って自分の身は自分で守るという気持ちと具体的な準備が大切かと思います。